限界

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「……何でキミはこんなにも私を追っかけてくるの?」  ココアを口にしてから聞くと、彼はこっちを見てゆっくり首を傾げる。 「あれ?言ってませんでしたっけ?」 「会ってすぐに『付き合って下さい!』しか聞いてないけど?」 「……あー……そう、かも……ですねぇ」  口元に手を当てて考えた彼は目線を斜め上にしてからまたこっちを見た。 「付き合って欲しいんですよ!」 「ムリ」 「気持ちいいくらいの即答ですねぇ」  笑いながら彼はガジガジと缶の縁を噛む。  器用に歯を引っ掛けて咥えてチラッとこっちを見ると、缶を手に戻してヒュッと投げた。  カコンと綺麗にゴミ箱に入ると、彼はニヘッと笑う。 「正確には“付き合って欲しい”には二つの意味がありまして」  クルンと体をこっちに向きに変えて後ろで組まれた手。 「は?」  腰を屈めて下から覗くようにされてピクッと眉を吊り上げてしまう。 「お付き合いを前提にうちの犬に会ってもらえないですか?」 「……は?」  理解不能で思考停止したい。  誰かこの意味を詳しく説明して頂けますか?
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