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私にあるものと言えば、情報屋として稼いだお金くらいだ。
それしか渡せるものはない。
「ん?てめえ、よく見たらガキのわりに綺麗な面してるじゃねぇか!お詫びにヤらせろ」
下卑た笑みにさっきの借金取りの人達が思い浮かんだ。
私の身体に触れてきた手を払い落とすと、目の前の男の顔が怒りで真っ赤になった。
「てめえ、何しやがる!ガキがいい気になるんじゃねぇぞ!」
殴りかかってきた拳を受け止めた。
「なっ……!」
「ちょうどいいので、あなたで発散させてもらいます」
完全は八つ当たりだった。
その自覚はある。
でも、相手の限界を思い遣る余裕はなかった。
「何してるの?」
誰かに声をかけられ、我に返る。
見ると、相手は血まみれになっていた。
さすがにやりすぎた……
「あんたに関係ないでしょ」
でも、それを何も知らない人に言われたくない。
怒りはまだ収まっていなかった。
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