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「すみません、私です」
って、これじゃ誰だか分からないよね……
「あぁ、未珠ちゃんか」
訂正する前に私だと分かったみたいだった。
声も柔らかくなってる。
そのことにほっとした。
「ごめんね。ストーカーかと思ったから、警戒してしまって……驚いたよね?」
「あ、いえ……紛らわしいことをした私が悪いですから」
驚きもあったけど、それ以上に怖かった。
背を向けていたから、表情は分からなかったけど、声からして冷たさが伝わってくるようで……
いつもの先輩じゃないみたいで怖かった……
「すみません、これで……」
「待って。怖がらせてしまったお詫びをさせてほしいな」
去ろうとしたのに、先輩に呼び止められて去ろうにも去れなくなった。
怖いと思ってしまったことがバレてしまったみたい……
「えっと、お詫びなんていいですよ。久我先輩は何も悪いことをしてないんですから」
「俺の気がすまないんだ。お願い、お詫びさせて?」
うっ、あざとい……
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