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俺は奥に歩いて行き、レストランのドアを見た。
先ほど閉じていたはずなのに、今度は開いている。
腹が減っていたので、その先に俺は進んだ。
「ごめんください。2名でお願いします」
「ちょっと、京くん、他人がいないのに入っていいの?」
「炊事の匂いだ。奥に行ってみる!」
「そんな匂いしないけど……頭どうかしたの?」
裕希が辛辣な言葉を投げてくる。
異常に腹が減り過ぎ。
他人のいない間に食べ物を盗んでいいのか、という判断を俺は出来なかった。
炊飯器に入っている炊き立てのご飯を拝借して、おにぎりを握り始める。
裕希が呆れた目をして、腕組みをして立っている。
「京くんは他人の家の台所って遠慮しないで入るタイプなの?」
「そうだよな。じゃあ、必要以上、おにぎりは作らないことにする!」
「結局、作るのかーい!」
「うん、上出来!」
テーブル席まで来ると、おにぎりが乗った皿を下ろした。
遠慮なく食べようとした。
ん?
視線を感じて、俺は首を横に動かした。
俺の怪訝な顔で、裕希も気づいたらしい。
そいつは、人間の少女のような体型、頭の上に金色毛の狐耳が乗っている。
そして、巫女服の後ろから金色の狐尻尾が9本のぞいて見えた。
狐娘?
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