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明らかに、狐娘は偉そうに話した。
「わらわは腹が減ったぞ! 美味そうな握り飯。わらわに全て捧げよ!」
「は?」
「京くん、従おう」
俺は狐娘を睨んだ。
ただ、手に掴んだ握り飯は、口に入れる寸前の宙で止まった。
裕希が冷静な口調で、熱くなる俺を止めたからだ。
不思議な話、俺の理性が戻った。
狐に化かされて、妙な行動を取ったんだろう。
俺は狐娘の前に、手に持った握り飯を差し出した。
「今後、俺らに悪さをするなよ」
「おう、お主の望み通りに世界を書き換えてやる。がぶりっと」
「にゃわッ、俺の手をかじるなってぇッ!」
「ほほッ、久々に他人の味がするわい」
かじられた手がひりひりする。完全、目が覚めた。
というか、あんなに腹が減っていたのに、今は満腹になっているのだ。
すると、狐娘は頬をもぐもぐさせながら、懐から青緑色の石を取り出した。
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