現実世界へ帰ろう

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 だけど、一理ある。  じゃんけん遊びを利用して、裕希(ゆうき)の内面を探ろう。  俺はただ、じゃんけんに勝ちに行く。 「ゆ・う・き・き・き・た・い・こ・と・が・あ・る」 「ちょっと、(きょう)くんズル……でも、何を聞きたいの?」 「ほ・ん・と・う・の・き・み・は・ど・っ・ち」 「もう、じゃんけんすらしていないしー。でも、何と何のこと?」 「看護師なのか、それとも少女のままなのか、裕希(ゆうき)の本心はどっちでいたいんだ?」 「(きょう)くんの前では、少女のままでいたい。看護師は役割だから」 「そっか。俺のこと、ずっと好きなんだ」 「そうだよ。私、ずっと京一郎(きょういちろう)を好きなんだぞ」  俺たちは足を止めて向かい合って話していた。  顔を真っ赤にして、泣き出しそうな目で俺を見つめる彼女が見えた。
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