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この山道、左右にくねくねと曲がった道が10km以上続いた。
俺の車運転センスが良いのだろう。
あっと言う間に、阿仁スキー場の駐車場へ着いた。
一方、助手席で裕希は放心している。
「おぇ、酔ったお」
「なんだ。俺の運転中、酒飲んでいたの?」
「違うわーッ。京くん、もうちょっと落ち着いた運転しなさいよ!」
「はいはい」
それでも、車は事故を起こさなかった。
俺はハンドルを握っていただけで、ほぼ勝手に車が運転した。
ぼんやりと夢心地で、俺らは車外へ降りた。
阿仁スキー場の施設は、鍵がかかっていた。はて、今日は臨時休業日だっけ。
すると、向こうの階段から裕希が慌てて降りてきた。
「京くん、大変だよ!」
「裕希、何を慌てているんだよ」
「ゴンドラが勝手に動いているんだよッ!」
「む、無人で?」
「そう、そうだよ」
「んな、馬鹿なこと……え、マジかよ!」
俺は階段を駆け上がった。
前に冬スキーに来たときは、係員が立っていた。
今日は誰もおらず……無人でゴンドラが動いているってば!
背筋に悪寒がする。
阿仁の人たちは、どこに行ったんだろうか。
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