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森吉山の深緑を見る余裕が出来た頃、ちょうどゴンドラが山頂駅に着いた。
裕希は、じーっと2つの道を見比べる。
そして、左の道を指さした。
「こっち! 街の景色をすぐ見るには、展望台の方かなーって」
「確かに、陸続きならいいな」
俺たちは展望台に登った。
結果、陸続きで街が向こうにもあった。
ようやく、俺はほっとした。
山の天気が急変する。
白い雹のような塊が、俺たちに向かって降って来た。
裕希は慌てて、リュックサックで頭を覆った。
呆けていた俺の頭に直撃した。
その雪玉モドキは、俺に当たると破裂して白い煙を上げた。
甘ったるい白煙を吸い過ぎたせいで、俺には幻が見えた。
白い煙が見せる景色。
サッカーの試合、俺のミスで、チームが連敗した時だ。
煙の中で景色が切り替わる。
バンドメンバーと、歌詞と音そのもので売り方を揉めていた。
もういいや。人生終了で。
意識が朦朧として、俺は仰向けに地面へ倒れた。
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