独占欲の狐娘

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独占欲の狐娘

 川と山に挟まれた田舎(いなか)風景。  その谷間が阿仁合(あにあい)の町だ。  ここには、4と4が合わさった駅、しあわせの阿仁合(あにあい)駅があった。  車を駐車場へ返す。俺たちは歩いて駅へ戻った。  その間も、他人と会わなかった。  うーん、異空間。 「ただいま~」 「おかえり~」 「家じゃないよ、でも言いたいんだよ」 「裕希(ゆうき)の言い分はよく分かる」  不思議な状況だけど。  阿仁合(あにあい)駅の中は、今の俺たちが安心できる唯一の場所だ。  元の世界とも(つな)がっているからだ。
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