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禁断の関係
高校の帰りのホームルームが終わり生徒は部活に行ったり帰ったりし始めていた。
黒輝龍二もその一人だ。
「龍二ー!なんか食ってから帰ろうぜー!」
「食わん。金の無駄だ」
黒輝龍二は興味なさげに同級生の石川光晴の誘いを断る。
光晴は「相変わらず付き合いの悪い奴め」と口を零した。
「お前女でもいんのかよ」
「いないが勉強しないといけないだろ。じゃあな光晴」
「わーったよ。じゃあな龍二」
一人帰路に着く龍二。
このつまらない世界で唯一の楽しみが今の黒輝家にはある。
龍二の確かな楽しみ。
………彼女が来るのだ。
―――――
「あら龍二お帰り」
「久しぶりだな姉さん」
「お帰り!龍二!会いたかったんだからなー!」
「お前も久しぶりだな蒼空」
目つきが龍雅に少し似た少女真上蒼空は龍二に抱きつく。
蒼空は龍二と同い年にして二人は叔父と姪の関係だった。
どうしてこうなったかの言うと龍二の両親(蒼空の祖父母)がハッスルしたからに他ならない。
叔父と姪の関係だが正直兄妹に近い。
ロングヘアーで金髪の男勝りの少女だ。
この姪は強気なところ以外龍雅と真反対の性格と言ってよい。
「ほーら。愛海。大叔父さんだぞ〜!」
「あぅぅぅ」
「愛海も来ていたのか」
愛海と呼ばれる可愛らしくデフォルメされた熊のキャラの着物を身につけた幼子はよちよち歩きで龍二の元に近寄る。
膝の上に乗ると嬉しそうに笑った。
「あ〜!」
「おぉ、前より大きくなったな」
「あ、分かる〜!やっぱりあたしの育て方が良いんだよね!」
この愛海は蒼空の子だ。
中学卒業後に蒼空の妊娠が発覚し、蒼空は通信制高校に進み途中で産まれた。
生後一年三ヶ月だ。
「調子に乗らないの蒼空。あなたみたいな子は少数派何だって自覚しなさい」
蒼空の母もとい龍二の姉の奈央は厳しく言う。
「うるさいなー。お母さんは!。あたしバイトも勉強もしてんじゃん」
「そう言う事じゃないわよ」
「姉さんリラックスしてきたらどうだ。蒼空と積もり積もった話しもしたいし」
「あらそう。ごめんね。ちゃんと叔父さんの言う事聞くのよ。愛海ちゃんもおばあちゃんと一緒に行きましょうね」
「あぅ〜」
奈央は愛海を連れ車を動かし何処かに行った。
両親もいないので龍二と蒼空の二人きりだ。
「龍二ぃ……」
甘えた声で蒼空は後ろから抱きしめる。
彼女と行為に至った事はないが二人は互いを愛していた。
だからこそ龍二は気になるのだ。
「蒼空……愛海は誰の子なんだ」
「秘密……」
「そうか…。ま、無理に聞く気もないが」
互いの唇を絡ませ合う。
間違っても龍二との子ではない……。
「18になったら俺と結婚してくれるか?」
「うん。もちろんよ。そしたら龍二は愛海のパパだね」
「あぁ…」
嬉しさと複雑さが混じる。
何故なら愛海には蒼空の血が入ってるが龍二の血は入ってないのだから……。
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