王道学園

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王道学園

白に囲まれた部屋の一室に数多の書類に囲まれたある一人の男がデスク前の椅子に腰かけていた。 部屋に差し込んできた朝日の光によって白髪の髪が夜空に輝く星のように煌びやかである。傷一つない肌は積もりたての雪山のように白く人形のような雰囲気を醸し出している。表情がないため精巧な人形に見える。 「って言われているんだよな。」 この聖鈴学園…腐海の者たちには通称王道学園といわれている小等部から高等部までエスカレーター式の日本の財閥の息子たち...即ち御曹司と呼ばれる人たちが通っている知る人ぞ知る名門学園だ。 かくいう俺は中等部には属せず高等部からこの学園に転入してきた。この学園において一番驚いたことはエスカレーター式であり幼少期から異性との触れ合いが微小なのが要因かは知らないが、ここでは見目麗しい生徒にはファンクラブ...通称親衛隊というものが存在する。嘘だって思うだろ?本当なんだぜ? 俺も転入当時にはこの学園のローカルルールというものが理解できなくて苦戦した。まぁ今となっては笑い話にもできるが、この学園に通う腐敗した者たちに関しては嫌悪感さえ抱いている。心中で何を思うのも勝手だがわざわざ大声を出して俺と同級生や関わりのある先輩などと話をするたびにごとに 『新種cpキタアァーーーーー!』『公式からの供給うまうま』など意味の分からない奇声をあげたり、新聞部に関しては受け手に誤解をまねくような写真や記事を学園の掲示板にでかでかと貼りつけたりしてくる。まあ俺の場合は実家が有名な財閥なので?権力のない庶民の顔が整っている奴らよりは控えめでが、金持ち最高権力ばんざい。 それでもなお嫌悪感というものはねずよく残っている。 だから奴らの腐フォルダー(笑)という宝物を新聞部同好会のパソコンをハッキング消去したときの俺の委員会まで聞こえてきた奴らの野太い叫び声は傑作だったな。普段使うことのない表情筋を使って翌朝頬が筋肉痛になってしまったのを覚えている。もちろんあいつらには俺がハックしたなんてわかるような痕跡残しようなへまはしてなどいない。 これはこの学園でよい子がしてはいけないこと№3だ。 №1と№2は五月蠅い奴が来たので割合しておく。 バンッッッッッ!!! 「ねぇぇぇーーーーー!!!き、き、き、聞いてくれぇ!さっき学園の防犯カメラ以外のこの委員会の防犯カメラを本来なら映像だけだけど暇だしいい 情報ないかなって音声も聞き取り可能に作り替えた俺個人のパソコンに操作できるように一週間前くらいに改造したんだよね。アヒヒヒッ、これで部屋から出なくても課題提出と情報収集が一遍にできる僕ってやっぱ天才?天才だな。 あ、話がそれた。 そこでぇ役員専用の煉に防犯カメラ最良情報提供カメラちゃんがまたいい仕事してくれたんだよねっ!な、な、な、なんとォ転校生がこの学園に編入してきまーす!ドンドンぱふぱふっー!副会長が会長に話いていたとこを聞きましたァ。やっぱランキング上位者は明らかに人間離れしているというか、近づきづらい雰囲気を醸し出しているというか。あ、でも僕は咲夜の妖精見たな顔が一番好きだよ。僕の好きなゲームキャラに似ていて。 あ、また話それたわ。 それでぇねぇ?転校生ってのがまたなんと理事の甥っ子らしいんだよね。この情報をォ腐男子どもに提供することで『一般生徒だった俺が学校の権力もち美少女美女たちからアプローチされまくる??あれ俺またなんかやっちゃいましたか改!』別名≪俺アチ改≫の序盤はツンしかないツンデレだけど好感度が上昇するにつれデレデレになってくれる人のことを駒としか見ていない冷酷無表情ことあやかたん♡の期間限定抱き枕の観賞用保存用使用用の三つと交換できる!!あーっ持つべきものはゲーム会社の社長の息子である腐男子の友(取引相手)だなァ!」 この喧しいやつは工藤 蓮 この学園の黙っていたらイケメンランキング(公式) 別名ザンメンで二位に大差をつけぶっちぎり一位をとった男である。 この男、在校生に告白された際に 『もう話し終わった?今日の分の周回終わってないんだよね。まだ話終わってないんなら早くしてくんない?僕の貴重なゲーム時間を裂いて話聞いてるんだからさ。』 といい挙句の果てには話途中で帰っていったというクズエピソードがある。 まあ、相手もあいつが急いでいるときずっともじもじしながら前置きも長い生産性のない会話をしていたのも悪いが俺の横でやられるのはやめてほしかった。 相手に睨まれたわ。 まあ、相手は俺(格上相手)に対して後先考えず行動するのは称賛に当たるが(笑)。 だが新聞部はこれ見よがしに俺と工藤のことに対して大げさなキャッチコピーで記載するわなど主に二次被害がすさまじかった。 てか工藤に対しては性格残念ではなく、性格クズだろ。 ゲームにしか関心がないからな。 こいつと初めて会った時のことを今でも詳細に思い出せる。一年の時こいつと同室だったからか、寮に入室してすぐさまこの学園の特殊さを教えられたのは都合がよかったがこいつは俺に対し 「え、え、えっこんなっ!顔の造形がまるでゲームにでてくる妖精見たいな人がいりなんてっ!!! 生まれてこのかた初めてこの学園に通っててよかったと思えたよ! しかしどうなっているもんだ?? 至近距離で顔を観察してみても毛穴がないどころかつるつるスベスベ。 どーしたらそんな赤ちゃん肌になるわけ?しかも髪は真っ白で光に反射してキラキラしているしまるでゲームのエフェクトみたいっ!! それに全く傷んでいない!!!もしかしなくとも地毛?!海外でも地毛の白髪はレアなのに日本に見かかるなんてガチャだったらSSR通り越してURなみだよ!この日ほど生きていてよかったと思える日はなかった!眼はグレーで頬と唇は桜色だし、肌が白いせいで白いおかげで?目立つし、そうはいっても決して女顔というわけではない!首元もしっかりしてるから確かに男性だと感じる!ッてことで今からお触りさしてくれた後に写真撮らしてくんない?」 と言われた直後俺の頬に触れ続けた工藤の手を右手で捻じり左手で腹に腕を捻じながら叩き込んだ。 話途中で殴ることはやめてあげたんだから良心的だろ? その後工藤はその場で膝をつき畝っていたが俺がその場から離れようとすると、足にしがみついてきてとてもとても執念深かったし気持ちが悪く鳥肌が止まらなかった。 このことを工藤が俺と共通の知人たちに話ていたが誰一人こいつに同情などされていなかったのはそれがこいつの日頃の行いがいかに悪いのかを垣間見えた瞬間だ。 「ねぇ、聞いてるのォ?さっきから僕が無条件で君に情報あげてるんだからさーあ。ちょっとはこっちのこと気にしてくれてもいいんじゃなぁい?書類とパソコンから一ミリも視線を動かさないじゃん!あーあっ!せっかくの雪白のために急いでっ走ってまで来て聞かせに来たのになあ。僕の上司様はお厳しいことで。」 「……お前は俺のために報告しに来たんじゃなくて自慢話をしに来ただけだろ。いや、その他にも何か都合が悪いことが起きたんじゃないのか? たとえば....そう、その生徒会連中に盗聴盗撮カメラの存在がばれて追われているとか。」 パソコンから目線を上げ工藤をみると、整えられた眉が曲がり工藤が苦手な食べ物を前にしたような渋い顔になっていった。 「うわぁ……なんでわかったわけ?そんなに僕って分かりやすいの??それとも雪白がすごく僕のことを理解してるってわけ??」 「それのどちらでもないな。ちょうど今生徒会からおたくの唯一の委員がまたやらかしてくれたらしいなと通知がきてな。何度も言っているだろ、やるならバレないようにしろって。それと喧嘩をうる相手は見極めろと。今回は相手がさほど気にしていなかったのが幸いだが生徒会には紅皇家がいるんだからな。無駄な衝突はできるだけ避けたい。」 この学園には日本の五財閥という世界のなかでも上位の財力と権力をもつ家の次期当主の息子たちが既に二人も通っている。俺も五財閥の次期当主候補ではあるが次期当主と当主候補では歴然な差が存在している。 この学園の均衡は五財閥の次期当主の二人…… 生徒会長の紅皇 昴。(こうおう すばる) 風紀委員長の貴藍 真。(きかん しん) 名前からして偉そうなのがわかるような名前だなと失礼ながら初対面の時の自己紹介で思ったのは内緒だ。俺はさほど珍しい名前ではないのはいいが弟に関してはこの二人のような名前なため密かに同情しているが、この二人同様名前負けしていないのが救いだ。 話はそれたがこの二人の派閥に属する生徒は多い。それは学園の過半数にも上る。その他は外部生、家の意向に逆らっている者、または特殊な家柄の者が多い。 「まーたそんなこと言っちゃって、この学園のことそんなに難しく考えてるのは雪白だけだと思うよ。ただでさえ閉鎖的で娯楽が少ない学園なんだ。そんな風に物事考えてるといつかはげちゃうよ。」 この学園の生徒たちは楽観的な考えの者が多い。一度親衛隊に入ったりするのはその派閥に加入する意思表示のようなものだ。この学園の者は親に相談もせずに惚れたなどの一時の感情に流されて行動するものが少なくない数いる。 それは親が息子を溺愛してもいない限り....そんな愚かな王道した時点で当主の座を下ろさねない。まあこの学園に在学している生徒でご当主様であられる方のほうが少ないのだが。 まあ例え溺愛していたとしても上位の財閥の当主の座はおろすだろうな。余程の考えなしでもない限り。今の日本の上位の財閥の当主様方は誰もそのような行動をする人ではなかったはずだ。 「イテテ、無言で僕の頭を両手で押しつぶそうとしないでッ!!禿げるよって発言気にしてるんでしょッ!自分の握力がないからって両手使うのはなしだよ!!...アッイタイイタイッッ!てか雪白、前僕に握力負けた時に煽ったことまだ根に持ってる?流石にねちっこいヨ!そんなんだから身長伸びなくて、新聞部の奴らから俺とセットで体格差cphshsなんていわれてるんだよ。」 こいつの発言の気にして暴力を振るっているわけではない。断じて俺は禿げないしねちっこくもない。 こいつの無駄に高い身長はひきこもりには身長はいらんだろうが。いちいち見上げるたびに首が痛くなる。なぜこいつが196㎝もあるんだ。なぜ俺は幼少期から毎日牛乳を飲んでるのに174㎝しかないんだ!! いや……まてよ、高校生男子の平均身長は確か172.5㎝だったはず。そう考えると一般的に見て俺は低身長ではないはずだ この学園に編入する前の中学校では俺よりも身長が低い奴らのほうが多かった。ではなぜ俺がこいつとセットで体格差cpなんぞ不名誉なコンビ名で呼ばれなきゃいけないのか。どうせなら『雪白と下僕』というコンビ名で売ってくれ。 てかこいつの場合はこの学園の過半数の生徒たちと体格差cpになるだろうが! ではなぜ俺が小さいみたいなこと言われなきゃいけないのか 答え.こいつのおかげ(せい) 「ッッイッタアァイイイ!!やっぱ雪白気にしているんだろ!身長のこと。俺が身長に関して突っついた瞬間に力が増したよっ!」 「その減らず口をたたくお前の口が閉じるまで今度は口を閉ざしてやろう。」 「やめてッッ!手で口を閉ざそうとしないで!!!息できなくなるでしょ。」 「そんなこといいながら余裕だろうが!お前が顔を上にあげたら俺の手は届かなくなるのに何故そのようにしない。煽っているのか?その無駄に高い身長を俺に分けろ。お前より有効活用してやる。」 「身長の有効活用って何?!てか足踏もうとしないでよ!地味に痛いんだから。」 「....避けといてよく言うな。」 「だって踏まれたら痛いんだもん。」 語尾にもんとかつけるな!大男が気持ち悪い。 痛いと思ったから踏もうとしたんだが清々しいほどきれいによけられたな。 ……こいつの嫌なとこは運動を全くしていないはずなのに適度に鍛えている俺よりも運動神経が良いところだ。悔しいことにな。 ……一年の時こいつのことなめ腐っていた当時の俺はこいつと体力測定の勝負での賭け事に負けてしまうという黒歴史がある。 もちろん俺が勝てる種目もあったが、だれも思わないだろう? 日頃体育の時はほとんどさぼり極力部屋から出てこようとしない工藤を見たらまさか負けるのだなんてっ! こいつはいつからなろう系の主人公になったんだ…? なろう系の話をこいつから聞いて思ったんだが努力している奴らはいいが努力してない奴が初めてやったことで努力している奴らの上をいくのはどうかと思うんだ。 いや、ただの嫉妬と言われればそうとしか言えないのだが努力した上で他の奴らが自分よりもはるかにできると知ったとき俺の努力の時間はなんだったんだとむなしくなるだろう…? ただの物語にこんな難癖つけるなんてって思われるかもしれないが実際今回の出来事はまさになろう系の主人公こと工藤と悪役こと俺になっていたからな。 これで工藤があれ俺またなんかやっちゃいましたかって発言した日にはぶん殴っていたかもしれない。まあしないけど。 まあそれで一週間ほどこいつの言いなりになって夕飯を作らされたが。これがまた、身体測定が秋だったのが幸いだった。 もしこれが転入したてのころだったら夕飯にでてきたものは黒い塊だったな。 一応人様に出すものだから練習しようとして人生で初めて料理というものをしたが想像していたものよりもはるかに難しかった。 野菜や肉を切るときに力を入れても上手く切れなかったから、両手で包丁を上から叩くように切ろうとしたがただ肉がへこむだけだった。 スマホの参考を見れば力を使う必要がないと書いてはあるが、これは嘘っぱちではないのか? 力を入れてもなかなか切れないのだから力を抜いたら尚更切れなくなるだろう。肉よりも野菜はまだいい。力を入れたら切ることができるからな。一番難しいのが味付けだ。レシピを見ているのに関わらず味見をしたら甘すぎる時もあればしょっぱすぎる時もあるんだが、何故なんだ? ちゃんとレシピ通りにしたはずなのに。ご飯を残すのはなるべくしないようにしていたから自分が作った大量の失敗料理は最後まで自分で食べたが。もう二度と作りたくないと思ったな。一週間ほど練習してレシピを見らずとも出来るようになったのが肉じゃがだけとは少し悲しい気もするが。 今度からは家の料理人には感謝の気持ちを忘れないようにしたい。もうあんな思いはごめんだ。 「………それでどーするわけ?」 「なにがだ。」 「とぼけないでよ。転入生のことだよ。」 「どうするもなにも俺たちがやることはないと思うが?別に転入生なんて珍しいことでもないだろう?」 そう別に転入生が来ることくらい珍しいことでもない。 この学園には一学年に300人ほど在学している。この中の50人ほどは外部生や特待生である。 それに加えて一年に数回転校してくるものが多々ある。その理由は親の転勤や会社の同僚から誘われ人脈開拓しようとしてくるか、多くの理由が存在している。 だからかこの学園は転入生がきたりしてもそう騒がれることはない。まあ、逆に学園を 中退や退学する生徒も少なくはないが。 「はあぁー。ほんとにわかってないわけ?この入学式終えの1週間後という微妙な時期に転校生が来るんだよ?しかも理事の甥っ子!まさに王道じゃん!」 「どうゆうことだ?」 工藤がなにを言いたいのか理解できない。王道…?はて最近そのような言葉を聞いたことがあった気もしたが。 「だからぁ王道転校生がくるってこと!!」 ………王道 ……………転校生 な、なんだとッ!!
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