王道学園

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……いや王道転校生という単語があるのは知っている。 叔父が理事長を務めている王道学園でいう王道展開とは、“王道転校生”が転校してくるという(学園において)非日常なことから始まること。 学園外での常識を持っている王道主人公が、学園の親衛隊や制裁などを否定し、より良く変えることにより、孤独感を感じていた学園の人気者たちを(精神的・肉体的に)救うというのが一般的な流れ。 中には、親衛隊などには嫌われていたマリモ頭&瓶底メガネの王道主人公が変装をとくと実は美形!素敵!という古き良き少女漫画のお約束が含まれていることが多々ある。(W〇kipedia) というのが王道学園で行われる物語だ。 この話に突っ込みどころは多くあるがまあ今はそんなことどうでもいい。 今は本当に転校してくるのが王道転校生なのか?ということだ。 実際にこの変な時期に転校してくるだけで王道転校生と決めつけるのは良くない。 変に俺が警戒したら他の生徒らに悪影響だしな。 「…おい、お前はなぜ理事の甥だと分かった。」 「そりゃあもちろん僕が転校生の書類を盗み見たからだよ。雪白なにいってんの?それしかないじゃん。ばかなの?」 「…ハッキングしたのは監視カメラだけじゃなかったのか?」 こいつまさか生徒会室や風紀委員室内のカメラまでハックしたのか?絶対にバレるからあれほどやめろといったはずだが。こいつの頭は鳥頭なのか。 「いやいやいや。前雪白がバレるから委員会室内のハックはやめろって言ってきたからやってないよぉ!僕は会長と副会長が話していたときに握りしめた書類を拡大して盗み見たんだってッ。だからその固く握りしめた手を緩めてッ!下におろしてッ。ヒッヒッフー。ほらリピートアフターミー!」 「うるっさい。」 握りしめた手をそのまま工藤の腹に叩き置いた。うめき声をあげながらこちらに体重を傾けてきた。おいお前と俺の身長差何㎝だと思ってるんだ!(非常に不服だが)身長差の分だけ体重の差もあるんだから俺に体重をかけるんじゃない。潰れるぞ、俺が。 「重い。」 「だって雪白が叩いてくるもんだから。痛くて力がはいらなくて…」 「嘘をつけ。お前が俺の頭に顎をおきながら俺の背中に腕を回してスマホをいじっているに力が入らないだと?たいしてダメージもはいってないだろう。」 「そんなことしてないって~」 工藤はそういいながら俺が工藤のスマホを取り上げないようにしないためか腕の力を強め距離をつめてくる。やめろ、なにがかなしくて野郎の胸に顔をうめなきゃいけないのか。いい匂いがするのも微妙にむかつく。 そんなこんなで工藤と格闘していると急にドアのほうからノックの音が聞こえた。
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