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「悪かったから待て、俺はお前を心配してるんだよ。」
俺の横に戻ってきた伏見が話す
「お前がこの学園に慣れたと思ってるかもしれないが…悪いがここでの権力者とお前が対等にみられているからなにも問題がなかっただけだ。
お前は星持ち上位者達とは話したことは多いと思うがそれ以外のやつらとはないだろ。
だからお前がこの学園にきたばかりの権力も地位も知識もない転校生に話しかけたらどうなるか成績上位者のお前ならわかるよな?
考えてみろ、新しい土地に来たばかりの移民がそこの貴族に目をかけられているのを他の住民たちが見たらどう思うか…
俺ならそいつを殺したくなるな。」
手を俺の肩に置き、軽い雰囲気で話してはいるが伏見の目は冗談を話しているようにはとても思えなかった。こいつはヒエラルキーの意識が強いのか、話の節々で感じられる。なにかコンプレックスでもあるのか…
肩に置かれた手を払い前を向き歩き出しながら考えていたがやめた。
俺には関係のないことだからな。他人の事情にむやみやたらに首を突っ込もうなんて誰が喜んでするのか。
まあでもこの学園には不可解なことが多くある。
まず初めに星持ちという制度。
この学園は成績優秀者などや部活動で好成績をとったものには星という称号を与えられ、星の所持数はここでのステータスになりえる。例えば星持ち上位者でしか使用することができない部屋や特権が多くある。
生徒会や委員長になる者たちは結果的に所持者上位になるくらい優秀な生徒が選出される。
星持ち上位者でも役職に属してない生徒もいたが大多数の者は何かしらの役についている。また上位者は御曹司がほとんどだ、一般生徒もいないわけではないがその数は少ない。だが学費が無償になるなど家計が苦しい生徒にとっては喉から手がでるような制度もある。
こいつも星の数は少なくなかったはずだ、部活の大会に優勝したこと去年の学年末試験でも上位者。
だがこいつは授業を欠課したところを一度もしたことがないような真面目な男だ。
特権を存分に使ってほとんど授業にでていないあのバカ(工藤)とは大違いだな....
取り留めのない会話をしながら数分歩いて校舎に辿り着いた。
多くの生徒が登校している時間にあまり顔をだしたことがないからか俺に対して注目が集まってきている。伏見には悪いため気づかれない程度に足を速めながら教室内へと向かった。
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