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別に望んでいるわけじゃない
もし、俺が「どんなやつになりたい?」と聞かれたら、迷わず「犬」と答えるだろう。
やつらは頭が良い。
飼い主の教える芸事やルールをすぐ覚えてしまう。
飼い主に尽くすという側面も犬の特徴だろう。
赤ん坊の世話する犬なんて代表的なものさね。
そして、飼い主からの愛をさらに受ける。
俺は尽くす、なんざ出来ないからな。
気まぐれだの、わがままだのって言われることもある。
俺の周りのやつらだってそうだ。
そんな俺は、自分を滅して飼い主に尽くす犬に憧れてしまうのさ。
まあ、俺には尽くすなんて性に合わねえから、憧れは憧れのまんまなんだがな。
俺は同居人の目をまた盗んで夜の街へと繰り出す。
そして仲間のもとへと行く。今夜は集会があるんだ。
朝までに戻らなければ、同居人に迷惑をかけてしまう。
まあ、俺は気まぐれな猫なんでね、一度は目を瞑ってもらおう。
……犬だったら、気兼ねなく同居人と一緒に眠れたのだろうか。
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