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四年前の正月に最後に会った時、姪のえみりちゃんはまだ四歳の女の子だった。
四歳といえど非常に聡明で、トランプのゲームが大好きで、オシャレにもとっても興味がある女の子である。忙しい姉に代わり、ほとんどの時間彼女と一緒にいたように思う。近くのショッピングセンターに連れていってあげたし、一緒にアイスクリームも食べた。あとは家でゲームをしたり、彼女の友達の悩みを聞いたり――なんてことをしたように思う。四年前のことなので記憶が一部うろ覚えだが。
そう、彼女も楽しんでくれているように見えた。最後には、来年またリオにい(僕がまだ“おじさん”な年ではなかったからなのか、彼女は親しみをこめてそう呼んでくれていたのだった)に会えるの楽しみにしてるね!と言ってくれたはずなのだが。
「るーるるるーるー……」
「……うっざい」
姉の言葉に、本気でしょぼくれてしまった俺。現在部屋の隅で一人さみしく、床にのの字を書いている最中である。
「いい加減しょんぼりしてないで戻ってらっしゃいよ。しょうもな。姪に嫌われたってだけで、ショック受けすぎ」
姉は呆れ果てている。だが、俺にとっては“しょうもない”ことではけしてないのだ。
「えみりちゃんに嫌われた……えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた、えみりちゃんに嫌われた……もう生きてる価値ない、死のう」
「行き過ぎ!つーか呪詛みたいになってるし!もっかいチョップ喰らいたいの!?」
「それはヤメテクダサイ……」
また痛いのは嫌だ。俺はしぶしぶ青ざめた顔を上げて姉を見る。
「だってさあ、俺今の仕事の忙しさだと、恋人作るどころじゃないわけよ。でもって、恋人が作れないと結婚もないし子供もいないわけよ、わかる?」
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