1人が本棚に入れています
本棚に追加
***
とは言ったものの。
――どうしよう。
私はスマホを握ったまま固まることになったのだった。凛音は真剣に悩んでいるようだった。えみりがどうして自分に会いたくないと言っているのか、理由が判明したらすぐに教えて欲しいと言っていたためである。
自分としても、二人には仲良くしていてほしい。だからこそ、正月前の十一月に、わざわざ一人で実家まで戻って弟と話してきたのだから。
だが。
『……だって、リオにいかっこいいんだもん』
娘は。顔を真っ赤に染めてそんなことを言ったのである。
『もう四年も会えなかったし、写真も送ってないんでしょ?だったら、リオにいの中のえみりは、まだ幼稚園の女の子なんだよね?』
『まあ、そうかもね』
『だったら……い、今のえみり見て、がっかりさせるかもしれないからいや。え、え、えみりは……リオ兄に嫌われたくない。だってえみり、決めてるから。将来、リオ兄のお嫁さんになるんだって』
『そうね……って、ハイ!?』
『リオ兄、えみりのこと世界で一番可愛いって、大好きって言ってくれたもん!きっと愛してるってことだよね、ね?もし、どんなえみりでも受け止めてお嫁さんにしてくれるって……そう約束してくれるなら、会う!』
『えええええええええええええええええええええええええええ!?』
――ど、どどど、どうしよ、コレ。
頭を抱えるしかない。彼が姪っ子を猫っ可愛がりしているのは仕方ない。そして、世界一可愛い、くらいのことは四年前に十分言っていそうだ。それもまあ問題ないだろう。でも。
まさかガチで恋愛感情を向けられているなんて、どうして想像できようか。確かに彼は今結婚していないが――いやいや。
――……どうやって伝えりゃいいのよ、これ!
娘と一緒に母親も悩む悩む。叔父も悩む悩む。
問題が解決するのは、まだまだ先のことになりそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!