長期休暇の自由研究

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「明日から楽しい夏休みが始まりますが、羽目を外し過ぎないように……」  通知表を渡され、休み中の注意について担任が話す一学期最後のホームルームが始まった。 「あーぁ、宿題多すぎなんだよな……」  隣の席からは不服そうな声が聞こえてくる。 「まぁ休みは長いし、何とかなるんじゃないか?」  とは言ったものの彼は「毎年最終日」に宿題を見せてくれと、僕の家におしかけてくる。  今年は、そうならない様に少しずつでもやらせておかないと、最後に又あの辛さがやってくる。  去年は結局、僕の分を写すだけで登校日の午前三時までかかってしまった。  二人とも何とか提出はできたが、あんな大変な思いをするのはごめんだ。 「ところで自由研究のテーマは決まっているのか?」  それは写す事ができないので、一番難しい。  彼の場合は最終日までテーマすら決まっておらず、僕がやったものに名前を書き足して二人の共同研究と言う事になってしまう。  一緒にするのなら、それはそれで構わないが、最初の段階で決めておいて手伝わせないと真面目にやっている自分が馬鹿みたいだ。 「いや、まだ何も決めてないけど……?」  ダメだ、このままでは去年と同じになってしまう。 「何か良いアイディアはないのか? 二人で共同研究にするなら手伝うし、一緒にやろう」  毎年一人でやったものを手柄にされるのだから、今年はこいつにアイディアを出させようと思った。 「ホントか?  ならこう言うのはどうだ……?」  彼は少し黙った。 「何だ?」 「昨日のテレビ番組で世界の長寿特集っていうのをやってたんだ……。  それでなんだが、近所の高齢者宅に行って健康の秘訣を聞くのはどうだろう?  それをレポートにまとめて発表するんだよ……」  なるほど、それは悪くないアイディアではある。 「でも、話を聞かせてもらうと言っても、どうやってアポを取る気なんだ?」
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