長期休暇の自由研究

5/7

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「教えていただいてありがとうございまし……」  お礼を言おうとした時、ガラスの割れるような音がした。 「すまない、ちょっと失礼するよ……」  慌てる彼を見て少し心配になった。 「大丈夫ですか? どうかされたんですか?」  奥の部屋から、酒の臭いをプンプンさせてベロベロに酔った男性が出てきた。 「おお倅、ここに居たのか?  もう酒が切れちまって、ちょっと買ってきてくれね―か?  釣りはやるからよ……」 テーブルに千円札を三枚置いたこの老人はいったい誰なのだろうか? 「親父、酒はほどほどにしとけっていつも言ってるだろ!  そんなだからお袋も愛想尽かして出て行ったんだぞ! お客さんが来てるんだから、おとなしくしててくれよ……」  信憑性に疑問が湧いた瞬間だった。 「父さんがご迷惑をおかけして、すいません」  話をうかがっていた男性は頭を下げた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加