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「教えていただいてありがとうございまし……」
お礼を言おうとした時、ガラスの割れるような音がした。
「すまない、ちょっと失礼するよ……」
慌てる彼を見て少し心配になった。
「大丈夫ですか?
どうかされたんですか?」
奥の部屋から、酒の臭いをプンプンさせてベロベロに酔った男性が出てきた。
「おお倅、ここに居たのか?
もう酒が切れちまって、ちょっと買ってきてくれね―か?
釣りはやるからよ……」
テーブルに千円札を三枚置いたこの老人はいったい誰なのだろうか?
「親父、酒はほどほどにしとけっていつも言ってるだろ!
そんなだからお袋も愛想尽かして出て行ったんだぞ!
お客さんが来てるんだから、おとなしくしててくれよ……」
信憑性に疑問が湧いた瞬間だった。
「父さんがご迷惑をおかけして、すいません」
話をうかがっていた男性は頭を下げた。
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