第3話.探索

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第3話.探索

 遥斗はまず、自身が目覚めたこの部屋の探索を始めた。  と言っても、座っていたときから、さらなる新しい発見は特になく、次は外に出れるのでは、と予め発見していた出口のような扉に向かう。  ──と、扉に近づいたその時。 『警告します。この扉は入り口専用です。このダンジョン──アストラルの隠し部屋から出られる場合は、水色の魔法陣に向かって下さい』  脳に直接響くような女性の声が聞こえる。 「……ッッ!?」  遥斗はとっさの判断で扉から下がる。 「お兄ちゃん? どうしたの?」  その様子を見て、紬が遥斗に尋ねる。 「え……紬は聞こえなかったのか?」 「ん? 何が?」 「なんか……女性の声が」 「え? なんにも聞こえなかったよ?」  きょとん、と首を傾げる。その様子を見て、遥斗はますます警戒心を高める。  意を決して、もう一度同じ扉に近づく。と。 『警告します。この扉は入り口専門です。このダンジョン──アストラルの隠し部屋から出られる場合は、水色の魔法陣に向かって下さい』  まったく同じ声と言葉が聞こえた。  もう一度聞くことで、声ではなく言葉に注意して聞けたが、すごいことを言っていた。  ──アストラルというダンジョン。そしてここはその隠し部屋、だと。  そして、やはり後ろのは魔法陣のようだ。 (ならば、これはアニメでよく見る異世界転生、というものなのか……?)  新しく聞き馴染みのない言葉がわかったところで、頭がさらに混乱するだけであった。  ──するとその時。 『極度の困惑を確認しました。アストラル専用自立生命体(イ・ティニ)、サラを召喚します』 「え!? な、なんの声!?」  遥斗は1度聞いた音声だったため、あまり驚かなかったが、今度は紬にも聞こえたようで、驚きのあまり立ち上がる。  危険ではないことはなんとなく分かるが、念のため遥斗は紬に近づく。 (イ・ティニだって……? なんなんだ、それは……)  そんなことを考えていると、目の前に小さな光が出てくる。もちろん、遥斗は立っているので空中に。  少しずつ光の大きさと強さが高まり、2人は目をつむる。  光が収まり、目を開けると、手のひらサイズの小さな妖精みたいなのがいた。 「遥斗様、紬様、はじめまして! アストラル専用イ・ティニのサラと申します!」
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