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一日終えた後のお風呂ほど、入る時は面倒だが、入ってしまえばダラダラずっと浸かってしまうものはない。
なんとか浴槽からあがり脱衣場にでると、ひんやりとした空気に包まれる。せっかく温まった心身が冷えきってしまわないように、ささっと着替えを済ませてしまう。
最後まで使い切ろうと綺麗に潰された歯磨き粉は、相変わらず、甘酸っぱいイチゴ味がした。子どもっぽい味は、私ではなく、モトの好みだ。
潰されたチューブは、もうこれ以上中身を吐き出せないみたいだ。綺麗に潰しきるのではなく、膨らませて、端を持って、遠心力をかけるように振ったほうがよく出るようになると、何度モトに教えたことか。潰してしまうと膨らますのも一苦労だが、捨ててしまうのももったいなくて、何とか角を押して膨らませた。
次、モトが歯磨き粉使ったら、出なかったはずの歯磨き粉が勢いよく出て、びっくりするんじゃないかな。
私はニヤけそうになる唇を噛み殺してから、口を濯いだ。
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