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彼の奇妙な行動
私は学校まえの朝の時間、町の散歩を楽しんでいるのだけれど、最近妙なことに気がついた。
公園を東に下った辺りで、いっつもおなじ少年に出会うの。
最初は気にも留めてなかったけど、ある日おかしいと感じて、あとをつけてみることにした。
彼はジャージにランニングシューズ。首にタオルを巻き、一見ジョギングでもしているかのと思う装い。でもそれはちがう。
彼は、いつもいつも片手にコンビニのビニール袋を持っているのだ。
そして、電柱の陰で止まったかと思うと屈んで何かしている。
しばらく走り、今度はポストの陰に屈んで何かする。
そんなことの繰り返し。
私は何気ない風を装い、彼に接近してみた。
なんと。
彼は素手で犬の糞を拾っていた。
拾ってどうするんだろう。明らかに変な行動だ。手が汚れる。コレクションできるものでもあるまいし、人に自慢できるものでもないだろう。
彼は町をぐるり一周し、都合八箇所で犬の糞を集めた。最低八個の犬の糞が、彼のビニール袋の中には収まっているのだ。
そして、その行動は毎日判を押したようにおなじであることが連日の尾行でわかった。
何考えてんの。異常者じゃない?
私は誰かに訴えたかった。だが、言う相手がいない。
犯罪を犯してるわけではなし、警察に言うのもお門違いだ。むしろ、誉められるべき行為で、誰にも迷惑をかけていない。
と言いたいところだが。
私は大いに迷惑しているのだ。
毎朝町中に落ちている犬の糞。
そのにおいを楽しみに嗅ぐ私の行動を、彼は台なしにしているのだから。
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