エピローグ

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 直ぐに二人の看護師がICUに走り込んで来る。 「申し訳ありませんが、そんな不衛生な格好ではICUに入れません。外でお待ち下さい」  一人の看護師がそう言いながら、夫をICUの外に連れて行った。  もう一人の看護師がベッドの上のテイトを抱えると、汚れてしまったベッドを見て溜息を吐いている。 「これは消毒し直しですね。旦那様とワンちゃんが泥だらけでタクシーでやって来て、理紗ちゃんに会いたいと言われたので、そんな汚れた格好じゃダメですと言ったんですが、ワンちゃんが旦那さんの手を振り解いてここに走って来てしまったんです」  その時、看護師に抱えられた真っ黒なテイトが私の顔をペロリと舐めた。ああ、その感覚はいつものテイトだ。やっとみんなが助かった実感が湧いてくる。看護師さんには怒られちゃったけど、私は本当に幸福を感じていた。あんな大きな災害に遭っても愛おしい家族全員が無事だったのだから。 「ママ。テイトはカッコよかったね」 「そうね、テイトは理紗の英雄(ヒーロ)だね」  娘は満面の笑みで大きく頷いた。  FIN
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