お母さんとカタクリとマキちゃんの三角形

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 ある日の夕方、散歩も後半の帰り道。 「カータークーーリーーー💦💦」 「ぎゃう~(嫌や~)」 「お願いやし、動いてー!家、帰ろうさーーー!」 「ぎゃうぎゃう~~(テコでも動かへんで~)」 お母さんは、軽くカタクリに繋がるリードを軽く、くいっくいっと引っ張る。これに対してカタクリは、頑なに伏せの姿勢を崩さず立ち往生…かれこれ三十分程この状態が続いていた。 「なぁ、カタクリ…何が嫌なん?教えて~な~?」 「わん、わん、わぅーん💦💦(なんか分からへんけど、嫌なんやー💦💦)」  言葉は通じなくとも、何となく意味を汲み取ったお母さんから漏れ出すは、大きな大きなため息。 「はぁー…」 大きな大きなため息を聞いて、お母さんをちら見するカタクリ。 「わふんっ、ぶふんっ、ぶぅふん!(そんな大きな大きなため息ついたって、僕は動かへんで~)」 カタクリの抗議を聞いて、「あー………」と、夕焼けできれいな空を見上げるお母さん…立ち尽くす。  それから何分経ったのか、カタクリの耳がピーーーンと立つと、遠くから聞き慣れた声が聞こえてきた。 「お母さーーーん!カータークーーリーーーーー!」 カタクリがすくっと立ち上がり、ブンブンブンブン、大空へ飛び出しそうな勢いでシッポを振り回す。 「ワッ、オーーーーーーーン💓(マキちゃ~~~~~ん💓)」 「カッ、カッ、カッ、カタクリーーーっ💦💦💦」 急に全力で走り出すカタクリに、大慌てで駆け出すお母さん! 「ハッハッハッ…ワオーーーン!(マキちゃーーーん!)」 声が聞こえる方へひたすら走るカタクリに、ぜーはーぜーはー息荒く走って着いていくお母さん。 「カタクリ~!」 あと少し!両手を大きく広げて、屈んで待っているマキちゃん。 五メートル、四・三・二・一…ジャーーーーーンプ!! 「ワッオーーーン!(マキちゃーーーん!)」 マキちゃんに飛びついて、ほっぺたをベロンベロンなめるカタクリ。 「キャーッ!カタクリー!」 楽しそうにジャレている娘とカタクリを横目に、息荒く倒れそうになっているお母さんが呟く。 「…カタクリめ…ぜーはー…せーはー…」
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