人探しの夢

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   L●NEなりSNSのDMなりで連絡を取ろうと試みるが、何故か私が手にしているのは昔使っていたガラケーだ。どのボタンを押しても画面は一向に動かない。  そこでもガラケーを手にしていることが当たり前と思っていた。ただ、  「前のケータイ使い方忘れとる!」  という焦りの言葉を発した覚えはある。  途方に暮れていたところ、  「彼女はもう、ここにはおらん。一か月前、○○で見かけたで。今は分からんけどな」  という情報をもたらしてくれる者が現れた。  千鳥格子のスーツでバシッと決めたホンコンさんであった。  ちなみに、私はホンコンさんに対してこれといった感情を持ったことはない。  知人女性にしても、彼とは縁もゆかりもないはずである。  しかし、ここでも私は何の疑問も持たなかった。  ○○という地へ移動し、個室トイレ群を巡るのだと決意を新たにした。  いざ、○○行きのバスへ(いつの間にか乗っていた)。  しかし、そのバスは○○に停まらないどころか逆方向へ行ってしまうことが発覚。分かった時にはもうバスは動き出してしまっている……というところで目が覚めた。  結局、知人女性とは会えずじまい。  焦りばかりが募る、ある意味濃い20分間であった。
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