お嫁さんが当たりました

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お嫁さんが当たりました

『おめでとうございます』  いきなり見ず知らずの女性の明るい声がスピーカーから響いた。 「えッ、なんですって?」  いったいなにが『めでたい』と言うのだろう。誕生日はまだまだ先だ。  女性にお祝いして貰うことなど、すぐには思い当たらない。 『星由真(ホシゆうま)様のお電話でよろしいでしょうか?』 「はァ、そうですけどォ」  電話の対応がヤケに手慣れた感じがした。  だが、なんとなく不審な相手だ。いったい誰なんだろう。保険の勧誘か何かだろうか。  それにしてもボクのフルネームと電話番号がバレている。  謎の電話相手に個人情報が筒抜けだ。仮にも『おめでとう』というのだから生命保険の満期の報告(しら)せか、何かなのだろうか。 『おめでとうございます。このたび星由真(ホシゆうま)様に』 「えェ……、?」  なんだ。それは。  思わずボクは聞き返した。  新手のオレオレ詐欺なのか。お年玉付き記念切手のオマケじゃあるまいし、なんて事があるのだろうか。 『こちらは少子化対策課婚活推進局企画室の橘アスカと申しますが、少々お時間よろしいでしょうか?』 「えェッ、まァ少々なら……」  相手の勢いに押し切られた感じだ。  少子化対策課の婚活なんだって。やたら長くて覚えきれない。相手の名前が橘アスカと言うことだけはわかった。  彼女は朗々と話しを切り出した。 『ご存知でしょうか。このたびの国勢調査によりますと成人男女の未婚率が過去最高になりまして、政府からも超異次元の少子化対策が叫ばれました』 「はァ、そうですねえェ……」  確かに現在、日本の少子高齢化は深刻的な状態だ。このまま少子化を野放しにしていれば、国家存亡の危機と言って良いだろう。 『そこでマイナンバーカードを所得した独身の男女の皆様には、マイナンバーロトの抽選会への参加が認められました』 「マイナンバーロトですか?」  なんなんだ。その怪しげな宝くじは。
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