カカシたものを見つけて

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 いつも泣いてばかりだった。  本当に、ちょっとしたことですぐに泣いた。  どうしたのって聞かれても、答えられなくて、ひたすらしゃくりあげるばかりで。  何か言おうとしても、口が震えて声が上手に出せない。  最初は心配してくれてたパパもママも、最近は私が泣くたびにうんざりしたような顔で、「また?」って声が今にも聞こえてきそうで。 「いいから早く泣き止みなさい」 「どうせ大したことじゃないでしょ」 「ねえちょっと、いつまで泣いてるの」  はじめは撫でたり、必死に寄り添ってくれたぬくもりは、もうない。  私が悪いんだけど。  全部、私が悪いんだけど。  だけどそれでも、悲しくて。  先生も友達も、私が泣くと「また泣いた」「これくらいで?」と呆れる。  嫌で嫌でたまらなくて、だけど泣くしかできない自分、すぐ泣く自分がどうしようもなく嫌で。  だけど少しでも悲しいことがあると、勝手に涙は出てくるし。  テストの点数が悪いとか、運動ができないとか、悪いことをしてるとかじゃなかった。  ただ、すぐ泣く。  それだけ。  それだけだったけど、私はひとりぼっちだ。
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