カカシたものを見つけて

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カカシたものを見つけて

 十月三十一日。  その日を私は、ずっと前から楽しみにしてた。  今日はハロウィンだから、学校が終わったあと、みんなでハロウィンパーティーをやることになってたんだ。  私もちゃんと誘われた。  お菓子を持ってきて交換しようねって笑顔で話して。  私はそれがすごく楽しみで、ワクワクしながらお菓子を頑張って手作りして、みんな喜んでくれるかなってそわそわしてたら、なかなかねむれなくて。  だけど家を出る時は、本当にめずらしく気分がふわふわだった。  なのに。  それなのに。  パーティーがはじまる前、一人の女の子が、「私、スパークルのチョコ買ってきた!」と得意げに自慢するのが聞こえてしまった。  スパークルは、すごく高くて人気で有名なチョコレート屋さんだ。  その瞬間、頭が真っ白になった。  なんだか急に、今までキラキラして見えてた紙袋の中の手作りお菓子が、お母さんに手伝ってもらいながら一生懸命作ったお菓子が、くだらないつまらない大したことないモノに見えて。  お菓子を作りながら手をケガしても涙を我慢して、初めて最後まで泣かずに完成させられたのに、そのときいきなりぶわっと涙が押し寄せた。  私はみんなの前で、ボロボロ涙を流して泣いてしまった。  声は出さなかったけど、近くにいた子がすぐに気づいて、みんな集まってきて、それが恥ずかしくて嫌で。  私を誘ってくれた子が「ほら、このあとパーティーだから、ね?」といくらなだめても私が首を横に振って泣き止まないものだから、みんな次々にため息をついたり嫌そうな顔をしたりして、 「ねえ、もう始めようよ」 「ほらあ、だから誘わないほうがいいよって言ったのに」 「時間なくなっちゃうじゃん、早く~」  と言い出した。  誘ってくれた子も、最後には「そうだね、じゃあ、パーティーが嫌なら帰っていいよ。無理やり連れてきちゃってごめん」と困ったような笑顔でそう言って、みんなの輪の中へ入って行ってしまった。  私はしばらくその場に立ち尽くして泣き続けた後で、こそこそと荷物を片付けて、もうゴミになっちゃったお菓子を抱え、とぼとぼ家を出たのだった。
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