忘却の心

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 そうだよ。俺は俺として生きていけばいいんだよな。  俺はスーツを脱ぎ捨て、少し古びたサッカーのユニフォームを着て、サッカーボールを手に取った。 近くの公園までたくさん走った。 風をきる感覚が気持ちいい。 まるで、誕生日の日早くケーキを食べたくて、学校が終わってすぐ家に向かって駆けていたあの日のような、 まるで、テストが終わって早く遊びに行こうとしていたあの日のような 心が軽くて、でも高まっている。 そうだよ。 これが生きてるってことだ。 一人だったけれどリフィティングをしたり、誰もいないところに向かってサッカーボールを思いっきり蹴ったりを満喫した俺は、自宅に帰るとすぐにお風呂に入った。 お風呂の鏡に映った俺の表情は柔らかく、幸せそうだった。 俺は鏡の中の俺につぶやいた 「久しぶり。鈴木太郎。」
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