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鈴木充。
俺はどこをどう切り取っても金太郎アメみたいに「普通」が出てくる所謂フツメンだ。
成績は平均点あたりをうろうろ、運動は一通りこなすが上手くもない。顔は普通(中学のとき一瞬だけ彼女がいた)、身長は高すぎず低すぎず。
充、って字面も響きもびみょーに古臭い。苗字に至っては、全国で二番目に多いやつときた。
「あっ、見て見て」
「きゃあっ」
「今日もかっこいい!」
あいつは…普通じゃない。廊下を歩けば歓声と悲鳴。全っ然、普通じゃないっ。
月ヶ瀬倫也。
家は近所で、親の話にたまに出てくるだけの存在。
ふわっとした明るい髪は少し長め。それだけでわけもなくアンニュイだ。その下の長い睫毛、だるそうな瞳。拗ねたような唇。
背はもちろん高過ぎない程度に高く(175くらいか?)、運動部でもないくせに適度についた筋肉。
学校一のイケメンと誉れ高く、泣かせた女子は数知れず。特定の彼女を作らずとっかえひっかえしてるってもっぱらの噂だ。
そもそも…なんだよ、そのカッケー苗字は!? そこからして気に食わん。
親同士は知り合いだったらしいし、小中が同じ、高校まで偶然いっしょだけれど交流はない。
こないだ、体育館の裏にゴールを外したバスケットボールを探しに行ったら、コワモテのおともだちとたむろってるところに出くわした。目は合ったけど回れ右して戻った。
そんな記憶しかない。
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