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少しずつ雷の音が大きくなっている。
これくらいの距離なら雷迅が使える!
ロウガの刀の切っ先をしっかりと握りしめる。
もちろん怪我はするけど、そんなことに構っている余裕はない。
「お前、何を…?」
「あなたを逃がさないようにする為よ!雷迅!」
空がまばゆく光った瞬間、ロウガに稲妻が直撃した。!
普通なら黒焦げなんだけど…やっぱり無事だった。
「うぅ…お前も無事では済まないはずなのに…」
「無事かどうかなんてどうでもいいの。私が守りたいと思って行動しているんだから、私がどんな状態でも守りたい人が無事ならそれでいいの」
無傷で守れたらかっこいいかもしれないけど、私はそこまで器用じゃない。
だったら、傷を作ってもみっともなくても必死に守るしかないと思うんだ。
「なるほど…。今回は退かせてもらおう。そうだ、一つ教えてやる、人の悪意は容易く動く…さらばだ」
ロウガがいなくなったと同時に、雨が降ってきた。
私達は互いに肩を貸すようにして、雨を凌げる場所まで歩いて、そのまま座り込む。
「コンガ大丈夫?ロウガがいた時、全然喋らなかったけど」
「昔からロウガの方が優秀で、俺の言葉は誰も聞かなかったからな」
「ふーん…」
兄弟がいるって大変そう。
私は一人っ子でよかったのかも。
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