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二人の臣下と公爵令息
クロムウェルは精力的だった。
邪魔者のお妃様がいなくなったクロムウェルは宗教改革をさらに進めた。民衆が馴染んでいるカトリックのミサや礼拝を禁止して、クロムウェルの部下は神聖な修道院に火をつけ、キリストの像と聖母マリアの像を破壊し、宝石類を持ち去った。
これではいけないと思ったのがノーフォーク公爵トマス・ハワードとウィンチェスター司教スティーブン・ガーディナーだった。
すっかり王はクロムウェル贔屓になってしまい、他の人の意見など聞かないのだ。
大臣二人はクロムウェルを殺害する計画を立て始めた。
ノーフォーク公トマス・ハワードは「私は毒をワインに入れよう」と言った。
「美女をクロムウェルに誘惑させ、ふたりになったところでワインに毒を入れて殺す。手下に使った美女はあとで適当に《事故死》してっもらう。これで陛下の捜査もこちらまで伸びない」
「いやいや、それは難しいぞ、クロムウェルは奥方一筋だ」
ハワードの提案に首を振ったのはスティーブン・ガーディナー司教だった。
「私は暗殺者を雇おう。クロムウェルの眠っている間に家に送り込む。家族一同皆殺しにしてやる」
同じ志を持った二人はにっこり笑った。
「あいつを殺すのはこの私だ」
この二人はクロムウェルが嫌いだということ以外ではいがみあっていたので、お互い協力して目的を果たすなんて考えもつかなかったのだ。
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