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「父上、僕ならこうしますよ」
盗み聞きしていたのは、ノーフォーク公爵の息子のヘンリーだった。ヘンリー・ハワード――親族たち以外からはサリー伯爵と呼ばれている嫡男だ。
「今、カトリック教徒の民衆がクロムウェルの改革に反発して行進しています。北部リンカンシャー地方で。彼らは自分たちのことを恩寵の巡礼と呼んでいる。武力を持たない抵抗運動であって、暴動ではないのだと。その数、八千人」
「八千人!」
ノーフォーク公爵はあまりの人数におののいた。
「暴動は起こしていないと?」
「彼らはあくまで巡礼の旅だと言い張っています。恩寵の巡礼だと」
「クロムウェルは黙っておるまい」
「ええ、北部の権力者は恐れています。クロムウェルの怒りを。恩寵の巡礼たちは味方をほしがっています。ヨークの大司教は王とクロムウェルの怒りを買うのを恐れ、街に入れていません。しかし非暴力のカトリック信者の受け入れを拒否し、締め出すことは真の信仰者のすることでしょうか?」
「彼らはハワード家と同じくカトリックだが、しかし王に対する反逆だ。陛下に報告し対処をせねばならぬ」
「彼らは反クロムウェル、反プロテスタントを訴えている。我々の真の望みとどう違うのです」
「ヘンリー、お前は何が言いたいのだ」
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