二人の臣下と公爵令息

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「クロムウェルの首を取る方法ですよ。父上とガーディナー司教がおっしゃっていたことよりも確実な方法。ヨークの大司教は俗物です。金を握らせ、こちらに抱き込むのです。反乱を煽り、彼らをヨークの城へ入れて武器を与えるのです。彼らに『クロムウェルの首をよこせ』と叫ばせる。王様とは人気商売です。陛下はとりわけ自分の評判を気にされる。巡礼の数が万単位になれば、一方的に粛清するやり方に足踏みをされるはず。そして陛下は考えるはずです。『大臣はいくらでもいる。民衆が望むとおり、クロムウェルの首を跳ねてもよいではないか』と」 「ヘンリー……それは危険思想だ。考えて誰かにしゃべるだけで、我々ハワード家の全員の首が飛ぶ」  よいな、そんなことを実行するな黙っておれと長男に言うと、ノーフォーク公爵は妻に相談しに行った。  公爵夫人ーーバッキンガム公爵令嬢――は不安がった。 「ヘンリーが自分で考えつくはずがありませんわ。誰か、よくない思想の人間の影響を受けたのです」
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