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再会
街を離れた小高い丘の上――そっと肌を撫でる微風に包まれ、澄み切った夜空をぼんやりと仰ぐ。果てなく広がる黒いカーテンの中、皓々と輝く白月が浮かび、燦々と輝く星達が眩いほどに散りばめられている。
そんな壮大な光景に、僕が――いや、人間という生き物が如何にちっぽけな存在なのかを改めて思い知らされる。……いっそ、このまま僕を呑み込んでくれたら――
「――久しぶり、彼方。私のこと覚えてる?」
――そんな、暗鬱な思考に沈んでいた時だった。燦然と輝く空の下、花のような――それでいて、どこか儚げな微笑を浮かべる少女の姿が映ったのは。
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