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転生したら悪女妖精姫で、その本人に呪いをかけられました
生まれ変わる前、私は死刑執行人だった。
目の前にいる女は、芽生えたばかりの春の芽。
エルフ特有の尖った耳、背中には紫がかった青く透明な羽を生やしていた。
罪人として捉えられた彼女は、今まさに“私”が死刑執行しようとしている最中だ。
太陽に愛されて育った彼女は、聖女のような役割があった。
神々の恩恵を受けた彼女の瞳の色は太陽のような黄金の瞳に輝き、国を安寧へと導く“聖女”としての力を宿していた。
1000年に一度現れるという彼女は、早々に皇族と婚姻を成され、外界から守るための障壁に覆われた城で過ごすことになっていた。
大切に扱われるべき存在の彼女がなぜ、目の前で身ぐるみを剥がされ、美しい透明肌はムチで打たれ皮膚を抉り、羽根をもがれようとしているのか。
それは、聖女 妖精姫が国を保護するはずの光魔法を解き、国を陥れる歴代最低の悪女と化していたせいだった。
「呪ってやる・・・。
皇太子、特にお前だ。
男として無能な奴め。この妾と婚姻しておきながら、愚弄しおった。
この国は永遠に神からの加護を得られぬよう、呪いをかけてやるっ!!!」
よくある悪役が吐くセリフを、妖精姫は高らかに笑いながら、邪悪そうに微笑んでみせた。
全身に痺れを感じた刹那、その場にいた死刑執行人と見届け人合わせて12名が死亡し、呪いをかけた妖精姫も死んだ。
目が醒めたら、呪い殺してきた妖精姫。
アイナノア・エアディレフ・バルバトログ(5歳)として生まれ変わっていた。
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