1. それは衝撃的な

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兄貴分はそう言うと、俺の腕を取ってどこかへ行こうとする。めいいっぱいの力で掴まれた腕はギリギリとした痛みを訴えて顔が歪む。 流石に痛くて手を振り払うように抗うと男は苛立たし気に悪態を吐いて掴んでいた腕を離した。ホッとするのも束の間、今度は肩を抱え込んで俺の顔の横でニヤニヤと話しかけてきた。 「あんまり大事にはしたくねぇだろ。大人しくしてたら悪いようにはしねぇって。な、ちょっとこっちで話そうや。」 耳元で聞こえる下卑た声に怖気を感じて一瞬でゾワッと鳥肌が立つ。抜け出したいのに男の力は強くて抱え込まれた状態のまま身動きが取れない。 「ちょ、ちょっと、まっ。」 「ああ?てめぇの所為でアニキの腕が使いもんになんねぇって言ってんだ。大人しくしろってんだろ。」 俺の後ろに回ってきていた弟分がドスの利いた声で俺を制した。2人に囲まれるような形でいつの間にか逃げ場が無くなっている。 (っていうか、ぷらぷらしてんじゃないのかよっ、腕。全然動くじゃないかっ。) その段階で俺の肩をがっちり掴む男の腕の力から、最初に掛けられた言葉が全て嘘っぱちな事が分かる。 だからと言って状況に変わりがある訳ではないが。ここでソレを指摘しても逆上して今度は殴る蹴るの暴力に発展していきそうで口を噤む。でもこのまま2人の言いなりで何処かへ連れ込まれでもしたら何をされるか分からない。 (こえぇ。これが都会…。俺、まだ上京して3時間しか経ってないのに。) 周りを見渡しても自分と彼らを避けて通り過ぎていく人間ばかりで、興味深げにこちらを注視する視線さえない。
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