1. それは衝撃的な

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生半可な力じゃ敵わないだろうと、めいいっぱい強く噛みついたお陰か。 アニキは痛みに手を薙ぎ払うように強引な仕草で引き抜いた。 やった、と思ったのも束の間、傍にいた弟分が俺の顔を思い切り殴った。 「何してくれんじゃ、ワレぇ。」 ガツンと頬に衝撃を受けて、俺の身体が思い切り吹き飛んで道路に転がる。ズザザッっと砂の上を滑るような音が耳元でした。 それでも今ここで逃げなければ、と本能が理解していたのか、俺の身体はすぐさま起き上がって奴らと反対方向の道を走り出した。 とにかく早く、早く、という意識しかなかった。すぐに追いかけてきた足音が恐怖心を煽る。 ここで捕まったらお終いだ。 息苦しいし、足は縺れるし、散々だ、と思いながらも必死に走る。 こんな風に殴られた経験なんて今まで一度だってなかった。ジンジンと痛む頬を抑えると、鼻からヌルリとした何かが垂れてきた。無意識に袖口で拭ったら真っ赤に染まった服が見える。 鼻血だ、と思ったら今度は右目に液体が流れ込む。 何だ、とこちらも無造作に手の平で抑えるとこれまたヌルついた液体だった。 (俺、どうなってんの?つうか、どうなっちゃうわけ?) もうどの方向へ向かっているのかも分からない。後ろの気配が近づいた気がして俺は恐慌状態(パニック)に陥りそうになった。 と、そこに公園と呼ぶには小さいが緑に囲まれた休憩場所のようなものが見える。 ベンチが一つあって木々が日陰を作っていてほんの少し薄暗い。 通りからの目線を遮るように植え込みが植えられている。 咄嗟にそこに入り込みベンチの後ろにしゃがみ込んだ。 ちょうどベンチには誰かが横になっていたようで運が良ければ俺の身体を隠してくれるだろう。 ドクドクという音が耳の奥に響いている。心臓の音なのか血液が流れる音なのか分からない。 (どうかっ、どうかっ、見つからないでくれっ。)
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