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9.彼の部屋、火照る体
ついに言ってしまった。
『好きです』と、佐田さんに。
恥ずかしくて、顔から湯気が出そうで頭がおかしくなりそうだ。
あのキスの後、佐田さんは恥ずかしげもなく、むしろひたすら真っ直ぐに私への気持ちを伝えてきた。
私もそれに応えたいと思った。
私はどう思っているかと、不安げに見つめながら訊ねてきた佐田さんに。
『す』を口にするだけでも緊張して、声は小さくなったけれど。
「やば、心臓……」
気持ちを言葉にして数秒後、そう呟くや否や、私を強く抱き締め肩に顔を埋めた佐田さん。
鼓動が凄く速い。
そういうことか。心臓がやばいと言うのは。
それって今の私と同じだと思ったら、胸が熱くなってまた涙が溢れそうになった――その時。
「てか……」
ふいに体が離れた。
かと思えば、左手を持ち上げられ指先に口づけされ、思い掛けず胸が高鳴って一気に顔が熱くなる。
そんな私に佐田さんは言った。
「今から小都里ちゃんは俺の彼女ってことで、いいですかね?」
と、左手は持ったまま、少し顔を傾け下から覗き込むように私を見て。
本当いつもさらっと言えちゃうんだ、佐田さんは。
ドキドキさせられっぱなしで、何だか少し悔しい気もするけれど。
その答えはもちろん、一つしかない。
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