9.彼の部屋、火照る体

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  しかし思い返してみれば、かなり大胆な発言をしたんじゃないだろうか。 ほんの少し前の私なら、考えられないような……。 今更自分の言葉に恥ずかしさを覚えて、慌てて体を離す。 「も……もう大丈夫です! ありがとうございます」 ああ、今絶対顔が赤い。 見られたくなくて、手の甲で隠す。 「……あー、うん」 佐田さんは何故か困ったように頭を掻いた。思わずとは言え体を押して離すなんて、嫌な感じだと思われたんじゃないだろうか。 「す、すみません、押してしまって」 「いやそれはいいけど……生殺しだなって」 後頭部から首元に手を下ろして佐田さんは言った。 私は一瞬固まるも、何となくどういう意味かを理解して再び顔に熱が集まる。 生殺しって……。 「それはそうと、小都里ちゃんさ」 ふいにそっと右手を軽く握られ、目線を上げる。 「付き合っても敬語?」 「え?」 「出来たら敬語じゃなく、ふつーに話してほしいんだけど」 「あ……」 そうか。佐田さんはそれを望んでるんだ。 ずっと敬語でそれが当たり前になっていたから、考えもしなかった。けれど……。 それに慣れていたから。いざそうしようと思ってもなかなか難しい。 「ど、努力します」 「うん……って言ってるそばから駄目じゃん」 ハハッと、佐田さんは片眉を下げて笑った。 確かに、その通りだ。
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