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「……綺麗、ですね」
そこで目にした光景は私の想像とは掛け離れていて、入ってすぐの所で思わず呟く。
これが佐田さんの……。
男性の部屋ってもっとこう、床だとかに物が散乱していたり、嗜好品の数々が置かれていたりするのかと思った。
佐田さんの部屋は一言で言うならシンプルで、すっきり整頓もされている。
奥にベッド。手前にはローテーブルと、壁側にソファがある。
「綺麗って、どんなイメージ持ってたの」
ふ、と佐田さんは笑って、グレーのソファに腰を下ろした。
傍らで、それほど大きくはない観葉植物がさりげなくその存在を主張している。
「来て、こっち」
突っ立っていると手招きされた。
佐田さんはたまに甘えたような声を出すので、反応に困る。
しかし、緊張しつつ言われた通り隣に腰を下ろす。
すると、程良い硬さのソファが少し沈んだ。
「さっきの話、脱いだ後の衣類がその辺に落ちてたり、物が沢山あったり……とか、するのかなって」
佐田さんは一瞬ポカンとした後、それ何かで勝手についたイメージじゃないかと、片眉を下げて笑った。
まあうん。そういうものだと、勝手に括っていた節はある。
「もし仮にそうだとしても、衣類が落ちてる状態で入れないよ。好きなコに、汚い嫌だって思われたくないし」
真剣さを纏って話す佐田さんは、私の心を掴むのが上手だと思う。
「そう……ですか」
「ん」
いや、佐田さんだからこんなにも胸が詰まるのか。
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