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かくして一ヶ月後。
とある住宅の前、重苦しい溜め息を吐いて肩を落とした私は、自分の置かれている状況を嫌という程に嘆いた。
およそ汚れ等見当たらない真っ白な外壁の、大きな戸建ての家。
正面には木目の玄関扉。
ポーチの周りには、所有者かあるいは住人の趣味なのか、可愛らしい置物や、花が植えられた小さなプランターがいくつか点在している。
そこから更に見上げた先、二階にはベランダが。
今日からここが私の家か……。
私が部屋探しに行くと話した後、お姉ちゃんは衝撃的な事を口にした。
『その事なんだけど……、知人がシェアハウスのオーナーやってて、コトちゃんにはそこに行ってほしいの。その人にはもう話つけてるから』と。
聞いた瞬間強烈なフックを食らった気分だった。
それから……。
『さすがに急過ぎるから今から探してってなると、コトちゃんが大変だし』と。
そう思って動いてくれていたのは有り難いし、それを聞くまで確かに仕事があるから合間で部屋を探したり契約したり、引っ越しってなるときついな……とは、自分自身も思っていた。
けどさ、シェアハウスって、他人と共同生活するんだよね?
私が人との付き合いが苦手なのを知っていながら、お姉ちゃんはさくさく話を進めていくし。
それだけは勘弁して下さいと言う間も無くて……。
私の気持ちは置き去りに、アレよアレよと物事は進んで、今に至る。
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