放課後の告白

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「くそッ」 三度しくじって鍵を開け、部屋に転がり込む。 帰ろうと靴箱を開けたら、小さな便せんに(くる)まれた青色の花が一本。 「キモッ! 捨てちゃいなよ」 俺の肩に顔を寄せた麗羅(レイラ)が言った。 「いやぁ、さすがにそれはかわいそうだろ」 容姿、環境、哀れみ。 学校(うち)の「最下層」は誰かと聞かれたら、九割のヤツが花房(ハナブス)を思い浮かべるにちがいない。 好奇心、優越感。退屈しのぎ。 俺の中に薄黒い欲望が湧き上がったのは覚えてる。 ただでさえヒサンなあの顔が、俺にフられたらどんなことになるんだろう。 書いてある通り屋上に行った。 後から麗羅(レイラ)もついてきて。 「どうすりゃいい……これ」 バレンタインでもないのに「一番得意だから」って手作りのチョコを渡された。 後は上手く言えないからって手紙を差し出してきて、 それを飛び込んできた麗羅(レイラ)がひったくって破いた。 あいつ死んでねぇよな。 だとしても俺、関係ねぇよな。 麗羅が破いた封筒と同じ色の箱。 封筒を()めていたシールと同じ色のリボン。 こんな目立つもの、学校の焼却炉なんかに捨てたらどうなるか。 駅のごみ箱も人通りが多かった。 かと言って(うち)の集積所じゃ、近所のババァどもと出くわす可能性が高い。 「食うしかないってことかよ‥‥‥」 ってか、食わなきゃ俺まで呪われるかもしれないし。 絶望的な気分でリボンを引っ張る。 (ふた)をはずすと、やや小粒の艶やかなチョコが並んでいた。
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