隙間なく ★

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隙間なく ★

 王宮の行政区画を抜け、王族居住区のカイザーの私室。鍵がかかる音と同時に抱きしめられる。 「カイザー様、あの、みなさんすごく驚いてたみたいですけど、大丈夫なのですか……?」  尋常じゃなく驚いたような視線で、サリースを見ていた行政官達の視線に、不安になってカイザーを見上げる。その唇が唇で塞がれ、言いかけた言葉が吸い込まれた。   「サリー……」  どうしてあんなに驚かれるのか。浮かぶ疑問が切なげに呼ぶ声と、角度を変えて何度も重なる唇に甘く蕩ける。目の前のカイザーに意識が染まっていく。   「ん……カイザー様……待って……!」  胸元を押してサリースは、顔を伏せながらカイザーに小声で頼んだ。 「あの……先に身を清めたいです……」  晴天のガーデンウェディングで、その上泣いたせいで化粧もきっとボロボロ。本当はこのまま抱きしめられていたかった。でも少しでもマシな姿になって、小さなことを気を取られることなくやっと通じた思いのまま触れ合いたい。たとえカイザーの息子さんの反抗期で、最後まではできなくても。思う存分カイザーを感じたい。   「……そんなのはっ……! あ、いや、そうだな……」  離しがたいのを堪えるように腕を緩めて、カイザーは私室の奥の扉に案内してくれる。扉に手をかけたサリースに、 「一緒には……入ら……ないな……うん……」  目元を赤くして熱っぽい視線のカイザーが頷くのに、羞恥と緊張が溶けてサリースはくすくすと笑った。 「はい……少しだけ待っていてください……」  まだそこまではできない。でも僅かな時間も離れ難い。自分と同じようにカイザーもそう思ってくれている。隙間なく触れ合いたいと。それが嬉しかった。 「ああ……待ってる……」  浴室に消えるサリースを見送り、がっついている自分の余裕のなさにカイザーはため息を吐き出した。ソワソワしながらソファーに腰をかけ、聞こえてきた水音にドキドキと鼓動が弾む。 「……俺は服を脱ぐべきか……いや、そんなやる気満々みたいなのはどうなんだ……? いや、でも……」  不安と緊張を感じているのに、じっとしていられないほど浮かれた幸福感。まるで落ち着きのない自分にカイザーは苦笑した。とりあえず上着は脱ごうと手をかけ、ふとポケットの膨らみに手を止める。ゴソゴソとポケットを弄り、手のひらに載る子猫を取り出す。 「エイデン……必要なのは子猫じゃなかった……」  妙に精巧な子猫に苦笑し、そっとテーブルに置いた。浴室から聞こえていた水音が止まり、しばらくして扉がカチャリと小さく音を立てた。思わず立ち上がったカイザーの視界に、バスローブを羽織って恥ずかしそうに立つ女神の姿が映った。 「……っ! サリー……!!」  風呂上がりのサリースに突撃して攫うように抱きしめる。余裕なく唇を押し当てながら、カイザーはサリースを抱え上げて寝台へと運び込む。  必要なのはデルバイスの至宝が作る、思わずほっこり笑顔が浮かぶ精巧な子猫ではなかった。副交感神経が必要としたのはたった一言。「カイザーが好き」。ランドルフから奪い取らなければいけないのではなく、サリースが自らカイザーこそを望んでくれる。  その一言が失敗に怯む思いより、抱き合いたいという欲求を凌駕させてくれた。甘い唇を貪りながら、もどかしく服を脱ぎ捨てるカイザーの息子さんはようやく思春期を卒業した。 ※※※※※  喰み合うように交わされる唇から、お互いの荒い吐息が溢れて混じり合う。口内を弄る舌に必死に応えるので精一杯のサリースの、たわわに揺れる双丘が大きな手に握り込まれた。重みを支えるように寄せあげられて、先端の尖りを指先に優しく引っかかれる。その刺激にサリースが思わず嬌声を上げた。 「んぅ……カイザー様……」 「サリー……好きだ、サリー……すごく綺麗だ……」  引き出される快楽と羞恥心で、抵抗しようとするサリースを、絶えず囁くカイザーの優しい声が引き留める。優しい声とは裏腹に、欲望に上気して熱く滾る視線がサリースの最奥にぞくりと官能を走らせる。欲しがられている、求められている。これほど強く。その感じるほどサリースもカイザーを求め、もどかしく募る思いに惑乱するまま、縋るようにカイザーに腕を伸ばした。 「カイザー様……カイザー様……」 「大丈夫、サリー……大丈夫……」  嘘の聞こえない穏やかな声音には、はっきりと愛おしさが聞き取れる。快楽が募るたびに不安になる気持ちを、カイザーの声がその度に宥めてくれる。肌を辿る指先にさえ過剰に反応するのを止められない。 「ふ……あっ……カイザー様……ああっ!」  涙声のサリースの声にも止まらない指先が、身体のラインを辿ってソコに辿り着く。形をなぞって掠める指先に呼び起こされた刺激に、思わず嬌声が溢れた。太く長い指が秘裂を添わされ、取り返しがつかないほど自身のソコが蜜をこぼしているのが分かった。 「サリー……」    囁きを吹き込みながら優しく辿っていた指先が、蕾のすぐ上でグッと固定される。そうして露出された花芯が指先で軽く撫でられた。ビリッと駆け抜けるような刺激に、勝手に身体が跳ね上がる。 「あっ! やぁ……!!」  ぬるぬると指の腹で撫で回され、火がついたようにソコが熱くなった。鮮やかに伝わってくる快楽に、サリースは思わず声を上げた。 「やぁ! カイザー様、待ってぇ!」 「サリー……大丈夫、綺麗だ……」  首筋を辿った唇が耳元に囁きを残し、そのまま埋まるように揺れていた胸の先に吸い付いた。熱い舌が硬く尖った先を吸い舐る。 「あぁっ!!」  じわりと胸の先端に広がる快楽が、ますます滑りながら撫で回される花芯の熱を高める。高まり続ける熱に耐えきれず、肌が毛穴を開いてじわりと汗を滲ませた。 「ああ! カイザー様、熱い……あぁ、ああ!」  甘く啼きながら突き抜けず膨らみ続ける熱に身を捩り、いっそ苦しいほどのもどかしさに胸の先に吸い付くカイザーを抱きしめる。 「カイザー様……苦、しい……ああっ!」  もどかしくてたまらない。溜まり続ける熱の堪え方がわからない。涙声のサリースに、カイザーが舌と指の動きを止めた。追い詰められていた熱が少し引き、撫で回されていたソコがジンジンと痺れるように鳴動するのを感じながら、サリースは束の間の休息に息をつく。  カイザーがゆらりとカイザーが上体を起こし、のしかかられていた重みが離れるのに、サリースはぼんやりと目を開けた。その額に口付けが優しく落とされ、そのまま唇が肌を辿って下がっていく。何をしようとしているか分かって、 「あ……カイザー様、だめです! カイザー様!」  熱に浮かされて力が入らないサリースは必死に声を上げたが、カイザーは止まらず足の間に割って入る。両膝の裏が手のひらで押さえられ、大きく開かされたソコにカイザーが顔を寄せた。 「いや……いや……カイザー様、だめ……」  羞恥に逃げようとしても身体は力が入らず、がっちり押されられた両膝はびくともしない。そのまま啄むように先端に口付けが落とされる。 「あああ!!」    ねろりと下から上へと舐め上げられ、サリースが悲鳴を上げた。熱を伴った舌が這わされ、動き回る感覚に脊髄を溶かされるような快楽が生まれる。羞恥とないまぜの未知の感覚に、サリースはボロボロ涙をこぼしながらシーツを掴んだ。  硬く尖らせた舌先に過敏になっているソコを突かれ、唇で喰むように刺激される。勝手に腰が揺れその先を求める欲望に急かされて、埋めらたカイザーにソコを押し付けるのをやめられない。  右膝の手が外されて、クチュクチュと秘裂を撫でられる。宥めるような舌先が与えてくる快楽に荒い呼吸を貪っていたサリースが、侵入する指に身を硬くした。 「ああっ! あ……! あ……あああっ!」  ゆっくりと侵入してきた指が粘膜を音を立てて撫でまわし、引っ掻くように一点を刺激すると同時に花芯が吸い上げられる。 「ああああーーー!!」  その瞬間、目の前が真っ白になったサリースは、羞恥も忘れ与えられる刺激に腰を浮かせた。追い詰めるように動き出した侵入した指と、やわやわと吸い上げながら舌先に転がされる愉悦に、サリースは無意識に腰を揺らしながら絶頂した。  ふわふわと浮いているような浮遊感に、ぼんやりとしていると寝台がぎしりと揺れる。燃えるような赤金が視界を覆い、優しく唇に口付けが落とされる。唇が離れて目を開けると、覆い被さるようにサリースを見下ろすカイザーと視界が絡む。 「サリー、抱いていいか……?」  優しく問われた声に、釣られるようにぼんやりしたまま口を開く。 「ですが、カイザー様の息子さんは反抗期で……」 「サリーが俺を好きだと言ってくれたから、やる気が漲っている。サリー、いいか?」  堪えがたい熱情を耐えるような表情に、サリースは瞳を潤ませた。そんなに辛そうなのに最後の一線を前に、サリースの意思を優先しようとしてくれる。装飾品としてしか価値を見出してもらえなかった自分を、そこまで大切にしようとしてくれる人。サリースの王子様はカイザーだった。 「……好きです。カイザー様が好きです。抱いてください。カイザー様のものになりたい……」 「サリー! 好きだ、サリー!」  グッと抱き締められた腕の中はジャスミンの優しい香りがした。熱く濡れた肌と隙間なく抱き締め合う。宛てがわれた穂先の熱さに、歓喜するように最奥が引き締まりじわりと快楽が滲んだ。グッと突き立てられた杭はみっしりと質量を増し、思っている以上の力強さで、サリースの隘路をこじ開けていく。 「サリー……サリー……辛くないか? 大丈夫か?」 「はい……カイザー様、カイザー様……」  誰にも侵入を許したことのない、狭小なソコはトロトロに熱く濡れていても、押し入るカイザーの杭に悲鳴を上げている。圧迫されるような苦しさよりも、ゆっくりとカイザーのものになっていく自分が、奥底までカイザーを受け入れていく実感が苦しさを凌駕する。  ぶつりと抵抗を突き抜けて、一気に最奥まで満たされた感覚に一瞬息を詰める。胎の中でもどかしそうに脈打つカイザーに、涙が溢れた。 「あぁ、サリー……」  呟くようなカイザーの蕩けた声には、間違えようもなく愛しさだけが溢れている。 「カイ、ザー様……好きです……」 「……っ!! サリー……!」  息を詰めて奥歯を噛み締めたカイザーが、軋るように声を絞り出す。サリースを気遣うような抜き差しは、徐々に速度を上げていく。異物を受け入れる苦しさが薄れ、中で膨れるカイザーが鮮明になる。 「あぁ……サリー……サリー……」 「はぁ……ああ……カイザー、様……」 「……う……ああ、サリー!」  堪えきれないように、激しく揺すぶられ赤金の目が熱を帯びて細まる。必死で縋ったカイザーがブルリと震えを走らせ、その瞬間最奥に白濁の熱が叩きつけられる。 「サリー……サリー……」 「カイザー様……」  熱い肌を重ねて抱き締めてくれるカイザーに縋って、サリースは熱く震える目頭をカイザーの肩に押し付ける。 (……やっぱり後悔させずにいてくれた……)  優しく降り注ぐ唇を受け止めながら、サリースは小さく幸せそうな笑みを浮かべた。  
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