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家を抜け出すのに成功した後私は歩いて5分のコンビニへ辿り着きそこで待機してくれていた翔哉の車に乗り込む。
そしてそのまま私達は新居となるタワマンへと車を向かわせた。
「やっと二人の時間が持てるな、長かったぜ」
「うん、そうだね。3年かぁ……長いような短いようなって感じだね」
他愛もない話を交わしながらのんびりとした穏やかな時間を楽しむ。今ここには騒がしくする目障りな妹も、彼女を優先しろと言い出す両親も誰もいない。いるのは私の事を大切に思ってくれる大好きな大好きな彼氏だけだ。
「ねぇ翔哉」
「ん? どうした、腹でも減った?」
「ううん……ねぇ翔哉、大好きだよ」
そう口にすると彼は耳を赤くして睨むように私をチラ見しては「家に着いたら覚えてろよ」と言ったあと、にんまりと笑って見せた。その真意を理解した私は体が熱を持ち暑くて仕方なくなる。窓を開けて風を入れては、ニヤニヤが止まらなくなってしまった。
私は彼の事が大好きだ、彼が私の事を好きなのと同じぐらいに、いやきっとそれ以上に。
「翔哉と暮らすの楽しみにしてたから。こんなに早く叶うなんてすごく嬉しい……不束者ですがよろしくお願いします」
「夜子……あぁ、俺の方こそ、よろしく頼むよ」
そんなやり取りをした後前方に見えてきたタワマンに二人してテンションが上がり顔を見合わせて笑いあった後、新居へとスピードをあげて向かった。今日は最高に幸せな日だ。
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