1話「色ボケ妹、彩香」

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 人の人生を踏み躙る真似をして何が楽しいのか、その子が亡くなったと教えた時、彩香は驚いていたものの信じられない事を言っていた。 『え? マジ? うっわ……彼氏一人奪われたくらいで普通線路に飛び込まなくない? てゆーかさ、女として私に負けたクセに被害者ヅラして勝手に命絶つとかマジ迷惑。私が悪者みたいに思われんじゃん、あーやだやだ……これだから非モテ地味陰キャは面倒なんだよねぇ……』  それを聞いた時私は引っ(ぱた)いてやろうかと本気で思ったけど、彩香を猫可愛がりして溺愛する両親にバレたら面倒な事になると思って踏みとどまった。  そして彩香を連れて亡くなった子の告別式に参加したんだけど、演技派な彼女はそこで涙を流して悲しむふりをして見せた。そんな彩香を見て貰い泣きする彼氏に引いたところはある。結局亡くなった子は、彩香の流した嘘が事実ではないと弁解する事もなく逝ってしまった。  告別式を終えて悲しむふりを続ける彩香を最後までそばにいて慰めていた彼氏も大概頭のおかしい人だなと思って眺めていた。元はと言えば、大切な彼女の事を信じずに後からノコノコ現れた彩香の嘘を信じたというわけだ。そんな人のために、彼女が命を落とす意味なんてなかったと思っている。今でもそれは思う。
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