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挙式を終えると、私物のスマホやデジカメで自由に撮影する時間をもらえたので、スタッフにお願いし、拓海のスマホで二人の姿を撮ってもらうことにした。
こういうときにかわいらしいポーズの一つもできればいいのだろうが、そういうのはどうにも気恥ずかしくて、瞳は普通にピースサインを作ろうとしていた。でも、瞳がそれを作るよりも早く、瞳の体は宙に浮いてしまった。
「え、うわっ!?」
拓海にお姫様抱っこをされていた。
「やっぱりこれは外せないだろ。な? お姫様?」
「あはは。拓海は王子様?」
「瞳限定のな」
今日の拓海はどうやら浮かれているらしい。瞳もそんな拓海に感化されているようだ。このベタなやり取りがとても嬉しい。二人して笑い合っていれば、少し離れた位置からスタッフの声が聞こえてきた。
「撮りますよー」
その声に従い、瞳がカメラのほうに顔を向けると、すぐそばから優しい声が降ってきた。
「瞳。好きだ。俺に一生愛されてろ」
スタッフが撮影した写真は二枚あった。
一枚にはお姫様抱っこで微笑み合う二人が。そして、もう一枚にはそのまま口づけ合う二人が写っていた。
~完~
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