5人が本棚に入れています
本棚に追加
残酷な運命
竜宮ヒルズを出てしばらく歩くと三郎は後ろから聞き覚えのある声をかけられた。
「三郎さん!」
ギクッ! 三郎は振り向き、大きく目を見開いた。そこには三郎を睨んでいる女性が立っていた。
「さっきのマンションの女は誰なの?」
声をかけてきたのは玉手箱涼子だ。彼女は羽衣食品ホールディングスの社長令嬢で三郎の婚約者だった。
「涼子さん、お久しぶりです…」
「何がお久しぶよ! 昨日も会ったばかりじゃないの!」
三郎は正体不明の冷や汗をかいていた。後ろめたいことは何もしていないはずだ。でも、涼子から社長に告げ口されたら俺はどうなる!?
社長は娘の涼子を溺愛している。涼子を泣かせたら、犬神家の一族のように逆さまにして公園の池に沈めてやると言っていた。今年は水不足。池の水は干からびて水深3cmしかない。犬神家どころか、ただの逆立ちした全裸モニュメントになってしまう。実際、あの人ならやりかねない。
「三郎さん!」
「はい〜っ!!」
最初のコメントを投稿しよう!