32 学園生活と

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32 学園生活と

早朝。 緊張した面持ちで馬車に乗り込むマイちゃん。 見送りにリーニャちゃんのパパママに屋敷の方々が並んでいる。馬車内にはリーニャちゃんとセバスさん、リーニャちゃんのお付きのメイド、ユリアナちゃんが乗っている。 そして馬車は動き出す。 これから始まるマイちゃんの初めての学園生活。 きっと楽しいものになるだろう。 ◆◇◆◇◆ 楽しい学園生活…… 久しぶりに再会したシャンドル殿下が緊張で変な動きに笑うマイちゃん。夜は私の手作りランチにあの旗をたて、一人遊びに興じて眠るマイちゃん。授業を必死に頑張って湯水の様に吸収していく天才なマイちゃん。 殿下のお友達から平民いじりをされても動じないマイちゃんにそれを必死で庇ってポイントを稼ぐ殿下。殿下のお友達にも大人気になっちゃうマイちゃん。学園に忍び込んだ反政府組織に拉致されそうになってその輩をボコるマイちゃん。 マイちゃんの笑顔が毎日見れて嬉しい。 そして学園生活以外でも毎日が充実していた。 休日はダンジョンに潜り日増しに強くなってゆくマイちゃんと私。 クルダレゴに作ってもらった盾と言うか指輪とイヤリングは特級素材のみを利用しているようで、クルダレゴは散財した資金をその後1ヵ月ほど貴族たちの武具を作り続けることで回収するそうだ。 肝心の性能は任意で透明な結界を作り出し、ドラゴンの突撃にも耐えた。そして収納機能もあり、マイちゃんの私物や宝物がそこには収納されることになる。 さらには通信機能もあり、私の頭の方に装着されたリングからマイちゃんのイヤリングに連絡することができるようになった。これはさすがに予想外でびっくりしたものだ。これならマイちゃんに内緒念話も楽になった。 私は土下座のかわりに感謝を込めてクルダレゴを浄化した。微妙な顔をしていた……がその間も私を視続けることをやめないクルダレゴにブレない奴だと感心してしまった。 そして遂にはダンジョンの最下層のボス、デーモンズドラゴンを屠りダンジョン踏破者となったマイちゃん。Sラング冒険者となりプラチナカードをニマニマした笑顔で眺め続ける愛らしいマイちゃん。 はぐれドラゴンの討伐依頼で向かった森でそれを討伐する寸前に、突然出てきた勇者に「危なーい!」と横取りされて泣いちゃうマイちゃん。そしてその勇者をボコる私に土下座する勇者。 そして私と同じように転生者で知性のある(インテリジェンス)魔武具(ウェポン)だった聖剣くんとの楽しい前世トーク。5年ほど前に転生したけど、この世界では200年前に転生しちゃったという聖剣くん。 特に漫画の続きについては話は止まらず思わずお昼から夕方まで話し込んでしまったが、マイちゃんはその間に勇者との修行をして楽しんでいたようだ。ちなみに勇者は現地人。でも不老不死スキル持ちで一度魔王を倒していると言っていた。 そして聖剣くんが私の『突撃』を視てぶっこわれスキルだと言って自分の『束縛』というぶっこわれスキルを見せてくれたりもした。アホ女神の適当さが出ているチートスキルだと盛り上がっていた。 その夜には女神に呼ばれ、また私が穢された。 その後も、実は共和国側を動かしているのは魔人で、その事を突き止めた侯爵家の名無しと呼ばれる男は実は可愛い女の子で、その事が分かることになったのは……まあちょっと色々あったけどそれは彼女の名誉のために内緒にしておこう。 そして魔人が復活させた魔王を、勇者と一緒にボコリに行ったら魔王の使う魔剣で勇者が倒されて、結局マイちゃんが私と聖剣くんの二本をもって『双剣』スキルを駆使して善戦してたけどもう無理そうだったんだよね。 そんな時は都合の良い音が聞こえてくるんだよ。分かってた。 『ぴっこぴっこぽっぴぴ~!』 ――スキル『双刃乱舞』をゲットしました。 『よし!マイちゃん、これならいけそうだね!』 『俺もマックスパワーでやっちゃうよー!』 「まかせてなのー!」 ……そんな感じで、近い将来、勇者も倒せなかった復活した魔王を、笑顔で屠る……そんな少女とモップの幸せな生活は続いてゆくことになる。 そんな少女とモップの物語。 おしまい ◆◇◆◇◆ 「ママーこのつづきわー」 『うーん。この続きは平和に暮らしましたとさって感じなんだよ?』 「そうなんだー!でももっとつづきもよみたいのー」 そう言って私に抱き付き、私を誘惑してくる少女。私の脳内アルバムは今も増え続けている。何時までも私の幸せは止まることはない。 「ママ?何見てたの?」 『あ、ああ。昔の日記読んでたの。マイちゃんが小さかった頃の……』 私に近づいてその少女を撫でる美少女。 「懐かしいね」 『そうだね……私とマイちゃんの、愛の記録だからね』 「ふふ。ママも私もかなり頑張っちゃったからねー」 『マイちゃんは今も頑張ってるでしょ。ユイちゃんもマイちゃんに似て元気があり余ってるから……』 そう言って私は抱き着いている少女を『影の手』でやさしく撫でる。私はその少女、マイちゃんの娘のユイちゃんにもママと呼ばせている。 そしてもちろんマイちゃんは大人になっても可愛い。一児の母には見えない美少女だ。だからユイちゃんもマイちゃんって呼んでいる。ちょっと年の離れた姉妹のように見える。尊い。 「私はママが居るからかなり楽をしてるよ。いつもありがとう、ママ……」 『ふふ。またマイちゃんの脳内アルバムが増えちゃった。後で念写しとこ!』 「もう!念写スキル覚えた時から写真ってやつ出しすぎだよママ!もう収納に何百冊もアルバムって奴があるじゃない!」 『いいのいいの。マイちゃんとユイちゃんの可愛さは、永久保存するべきお宝なんだから!』 その言葉にため息をつきながらも、ユイちゃんを抱き上げ笑顔を見せるマイちゃん。 来週にはリーニャちゃんのところも二人目が生まれる予定だ。 またその可愛い天使たちを見に行かなきゃならない! 毎日忙しいけど『転移』があるからマイちゃんたちを連れて何時でもどこでも遊びに行こう。 なんだかんだあったけど、本当に女神には感謝だね。 この異世界に……この、ぶっこわれた素敵なマイちゃんのいる世界に転生させてくれてありがとう。 そしてマイちゃん、私を使ってくれて……ありがとう。 今度こそほんとに、おしまい --------- すみません。これにてマイちゃんとモップの物語は終了となります。 設定ミスなども多々あって、書き切ることができませんでした。また機会があればこんな感じの話も書いてみたいですが、その時はもっとしっかり設定を練る混んでから書こうと思います。 ご覧いただきありがとうございました。 評価、感想など頂ければ幸いです。
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