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「わっ」
一歩飛び退く。もう一度よく食パンを見るが、微動だにしていない。見間違いだろうかと思ったが、私はどうにも無視できなかった。
その茶色を食パンの耳以外で見たことがあったからだ。
私はもう一度近づく。
そして、この間のクリスマス会で友達にもらった赤色の手袋で四角い雪を払った。
すると中からは予想通り、茶色の段ボール箱が現れた。ところどころ雪が沁み込んだ跡が見える。テープなどは貼られていない。
一瞬だけ躊躇ったがその勢いのまま、私は箱の蓋を開けた。
「わっ」
図らずも先程と同じ反応をしてしまった。
しかし驚き度合いで言えば、先程のほうが勝る。中身にはある程度予想がついていたからだ。
段ボール箱の中では、一匹の仔犬が眠っていた。
雪のように真っ白な毛で覆われた小さな身体が、底に敷かれたバスタオルの上に丸まっている。
呼吸が速い。舌をだらりと出したまま横たわって目を閉じている。苦しそうだ。
どうしたらいいかはわからなかったが、このままではいけない気がした。
雪だらけになった手袋を外して、私は箱の中の仔犬を抱え上げる。意外と重い。それから首に巻いていたマフラーで仔犬をぐるぐると包んだ。
揺らしたら逆効果だろうか。歩いても大丈夫かな。
何がこの子のためになるのかわからず、私はその場に立ち尽くす。
はらはらと降り続ける雪が当たらないように両手で守った。
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