雨音は、そっと沈黙する。

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「貴女が、天音の遠縁でも友人でも女性記者でも、 なんでもいいんですけど、とりあえず帰ってください」 そう言って主人はドアチェーン越しに対話した相手を帰そうとした。 『犬の名前は、あまおと。 雨音と漢字で書いて、あまおと』 と、スマホの文字を見せられて、主人はドアを閉める手を止めた。 女性は素早く携帯を打ち込んでいく。 『天音が付けた名前ですよね? 雨の日に里親探しに出かけた時に 出逢った犬だからと。 そして天音の1文字から取った』 「それは......。一般には公表していない。 ごくごくわずかな人間しか、知らないことです」 『お願いです。お話しをさせてください。 私は精神的ストレスで声が出なくなりました。 だからこそ、天音の気持ちがわかるんです』 主人は声には出さず、ドアを大きく開けることで『部屋へどうぞ』 と、答えた。
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